HOME  観察覚書:INDEX back


[標本番号:No.392   採集日:2008/03/01   採集地:千葉県、大多喜町]
[和名:コバノチョウチンゴケ   学名:Trachycystis microphylla]
 
2008年4月12日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 3月1日に千葉県で採取したコケがまだひとつ残っていた(a〜c)。標高60〜80mほどの城址にある駐車場脇の岩上や隙間を一面に被っていた。無数に朔をつけた姿はとても美しかったが、残念ながら、すべての朔はまだ未成熟だった(d)。
 すっかり乾燥した標本は、葉が強く巻縮した状態となっていたが、湿らすとすぐに葉を伸ばして大きく開いた(e〜g)。植物体は、茎の長さ2〜2.5cm、長楕円状披針形の葉をつける。葉の長さは2.2〜2.5mm、先端は尖り、舷はなく、葉上部の縁には単生の歯がある。葉の中程から基部の縁は軽く反曲する(h)。中肋は太く、葉先近くに達し、背面上部にはまばらに大きな歯がある(i)。
 葉身細胞は不規則な方形〜多角形で、長さ8〜12μm、背腹両面に大きな乳頭がある(j, k)。中肋は横断面で、背側に大きく突出し、大きなガイドセルが目立つ(k)。茎の横断面には明瞭な中心束がみられる(l)。

 コバノチョウチンゴケ Trachycystis microphylla だろう。当初、ここに掲載のつもりはなかったが、朔をつけた姿があまりにも美しかったので、念のためにとりあげた。