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[標本番号:No.425 採集日:2008/04/20 採集地:栃木県、鹿沼市] [和名:カギフタマタゴケ 学名:Metzgeria leptoneura] | |||||||||||||
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先月栃木県鹿沼市の林道脇で、倒木〜腐木を一面に覆っているタイ類を持ち帰った(a)。ハネゴケ属とフタマタゴケ属が混生していたが、主たる群はフタマタゴケ属だった(b)。葉状体は、長さ2〜5cm、幅0.8〜1.3mm、背面は無毛、腹面の中肋部には単生〜双生の毛が密生する(c〜e)。翼部の縁には双生の長毛が密生する(d, f)。 葉身細胞は五角形〜六角形で、長さ40〜60μm(g)、葉状体先端付近では10〜15μm(h)、いずれも薄膜で、油体のような構造はみられない。中肋細胞は、背面、腹面ともに2〜3細胞幅(e, i〜l)。翼部は15〜20細胞幅で、少しでも乾燥し始めると縁が著しく内曲する。 |
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あらためて、翼部の縁を高倍率のルーペ(m)や実体鏡(n)で確認した。顕微鏡で見ても、確かに対になった長毛が双生している(o)。中肋部腹側の細胞幅を再確認してみた。やはり2細胞幅(p)〜3細胞幅(q)であり、葉状体の大部分の位置では2細胞幅だった。また、無性芽と思われる組織が翼部の縁にみられる(d, r)。
形態からフタマタゴケ属 Metzgeria のタイ類には間違いない。当初はヤマトフタマタゴケ M. lindbergii あるいはヒメフタマタゴケ M. decipiens ではないかと思っていた。それにしては、翼部の縁を覆う双生の長毛がやけに目立つ(m)。また、中肋腹面の毛も、ヤマトフタマタゴケと比較してかなり密であるように感じた。さらに、無毛小球(雄枝)やカリプトラなどが全く見つかない。おまけに、翼部の縁には無性芽らしきものがある。 |
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