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[標本番号:No.423   採集日:2008/04/20   採集地:栃木県、鹿沼市]
[和名:ミヤマサナダゴケ   学名:Plagiothecium nemorale]
 
2008年6月7日()
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 4月20日に栃木県鹿沼市で採取したコケは残り2種類となった。今日は、そのうちの一つ、林道脇、標高210mあたり、日陰の岩壁についていた蘚類を観察した(a, b)。植物体はやや暗い緑色で、わずかに羽状に分枝し、ツヤがある(a, b)。葉を含めた枝の幅は、広いところで3〜3.5mm、乾くと独特の縮れ形をする(d, f)。葉をやや扁平気味につける。
 葉は、広卵形でやや凹み、長さ2.5〜3.5mm、先が尖り、全縁、二叉する中肋が葉の中央付近まで達する(g)。葉身細胞は長い六角形で、葉身中央部では、幅18〜25μm、長さ50〜60μm(i)、葉頂付近では、幅16〜20μm、幅12〜18μm(h)、葉の基部付近では、長さ70〜80μmに達する(j)。葉の基部はほとんど分化せず、細くわずかに下延し(e, g)、その部分の細胞は透明薄壁でわずかに大きい。葉中央付近で横断面を切ってみた(l)。
 茎には毛葉や、偽毛葉などはみられず(e)、横断面をみると、表皮細胞は薄膜で、比較的小さい。中心束は明瞭には捉えられなかった(k)。無性芽のようなものはみられない。

 全体の印象はいかにもサナダゴケ科っぽい。平凡社図鑑の検索表をたどると、サナダゴケ属 Plagiothecium に落ちる。属から種への検索をたどると、ミヤマサナダゴケ P. nemorale ないしマルフサゴケ P. cavifolium の枝に落ちる。以前採集したマルフサゴケ(No.125)、ミヤマサナダゴケ(No.35)などと比較してみると、どうやらミヤマサナダゴケのように思える。