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[標本番号:No.479 採集日:2008/07/20 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:シモフリゴケ 学名:Racomitrium lanuginosum] | |||||||||||||
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先月20日富士山の標高1800mあたりで涼んでいたとき、径脇の溶岩壁に地衣類やらコケがベッタリと貼り付いていた(a)。中でも最も優先した群落を作っていたのがシモフリゴケらしい蘚類だった(b)。よくみると、朔の残骸がまだ残っていた(c)。シモフリゴケの朔はこれまで観察したことが無かったので、とりあえず採取しておいた。 現地ではカラカラに乾いており、白色の長い透明尖が、まるでコケの上に白色の糸くずをまぶしたようにさえみえた(b, c)。持ち帰った標本をほぐそうとすると、いとも簡単に千切れてしまった。乾燥した状態(d)では、湿時(e)よりも透明尖が顕著にわかる。 茎は長さ6〜10cm、直立し不規則に短い枝を出し、枝の途中から短い朔柄(3〜4mm)を出し朔をつける。葉は乾燥すると茎に密着するが、湿ると軽く展開する。葉は披針形で、長さ3〜4mm、尖端には長い透明尖がある(f〜h)。葉身部では縁が反曲する。中肋は葉頂に達し透明尖となって長く伸びる。長く伸びた透明尖は、ときに葉身全体の2/3に及ぶ。透明尖は、先端から緑色の葉身部まで、表面が無数の乳頭に覆われている(i〜l)。 |
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葉身細胞は、長い矩形で波状に肥厚し、壁は厚いが表面はほぼ平滑。葉の基部でも、特に顕著な分化はみられない(m, n)。葉の横断面を5〜6ヵ所でみた。透明尖の基部では、葉の途中から急に白色となり、白色部には背の高い乳頭が見られる。緑色の葉身部の横断面をみると、表面は平滑で厚い膜が顕著である(o)。中肋部には発達してすステライドは見られない。茎の横断面に中心束はなく、表皮細胞は小さな厚膜の細胞からなる(p)。 朔はほとんどが壊れきっていたが、一部に朔歯を残したものがあった。それを観察すると、朔は一重で16枚、各朔歯は基部で二裂し、表面には無数の乳頭がある(q, r)。口環の発達の度合いなどはよくわからなかった。なお、朔柄表面には乳頭がある。 シモフリゴケを詳細に観察したのは、これが2度目となる。先に観察したのは昨年8月の富士山五合目近くだったが(標本No.308)、今回のものは、二合目〜三合目あたりになろうか。 |
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