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[標本番号:No.471   採集日:2008/07/19   採集地:長野県、松本市]
[和名:コガネハイゴケ   学名:Campyliadelphus chrysophyllus]
 
2008年8月14日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
 7月19日に長野県の白骨温泉で採集したコケを観察した。標高1450m、日陰で湿った石灰岩上に群生していた(a)。乾燥しても湿っていても、枝葉を彙状に開出したすがたは変わらない(b, c)。不規則に分枝し、長さ8〜12mmほどの枝を出す。葉を含めた枝の幅は1.2〜1.5mm、茎や枝に毛葉などはみられない(d)。葉は広い卵形の基部から長く漸尖し、長さ1〜1.5mm、幅が細くなるあたりで後方に反り返る。葉先は弱く鎌形に曲がり、細い部分は溝状になる(e)。葉縁はほとんど全縁、中肋が葉長の1/2〜2/3まで達する(f)。
 葉身細胞は線形で、長さ30〜55μm、幅4〜6μm、膜はやや厚く表面は平滑(g)。葉頂部でもほぼ同様(h)。翼部には、方形の細胞がみられ、多くは長さ20μmを超えない(i)。葉の横断面をみると、中肋にステライドなどはない(j, k)。茎の横断面には、弱い中心束があり、表皮にはやや薄膜の細胞がみられる(l)。

 ヤナギゴケ科 Amblystegiaceae のコガネハイゴケ属 Campyliadelphus の蘚類だと思う。平凡社図鑑のヤナギゴケ科の検索表をたどると、観察結果とは矛盾しない。同図鑑の属から種への検索をたどると、コガネハイゴケ C. chrysophyllus に落ちる。なお、類縁のエゾコガネハイゴケ C. stellatus は中肋が非常に短いか不鮮明であるという。