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[標本番号:No.511 採集日:2008/09/03 採集地:山形県、山形市] [和名:アカウロコゴケ 学名:Nardia assamica] | |||||||||||||
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今月はじめ、山形県蔵王温泉上のスキー場上部で、道脇の日陰の土手に出ていた苔類を採集した(a, b)。茎は長さ4〜6mm、葉を含めた茎の幅は1mm弱で、わずかに分枝する。茎の下半分は茶褐色となり、花被をつけた個体が多かった(c)。 葉は、茎に斜めに緩く瓦状につき、類円形〜腎臓形で、腹葉があり、長さ0.8〜1mm、全縁。複葉があり、腹葉の基部からは長い仮根がでる(d〜f)。葉身細胞は六角形を主体とした多角形で、長さ20〜40μm、平滑で、壁は薄くトリゴンはほとんど見られない(g, h)。葉縁の細胞は他の部分より若干小さい(h)。油体は一部の細胞に、散発的にみられる。油体は1細胞に1つしかない細胞が多く、楕円形〜類円形で微粒の集合体に見える。 花被は大きく、円錐状の円筒形で、3〜5褶。苞葉・腹苞葉は他の葉よりやや大きく、縁は波打つ(i, j)。花被の葉身細胞は、上部は長い矩形で、ごく一部の細胞に油体が一つあり(k)、下部は横長の多角形で、油体を持った細胞は少ない(l)。ペリギニウムはみあたらなかった。 ツボミゴケ科 Jungermanniaceae アカウロコゴケ属 Nardia のアカウロコゴケ N. assamica ではないかと思う。平凡社図鑑、保育社図鑑の解説を読むと、観察結果とほぼいっちするが、平凡社図鑑に掲載された写真とはまるで印象が違う。中村・古木・原田『校庭のコケ』の写真も平凡社と同じものなので、まるで別種のように見えるが、解説は観察結果と矛盾しない。
[修正と補足:2008.09.18] |
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やはり、苞葉の部分が多肉質になったものはなかった。先の観察結果と同じく、花被を包む苞葉は、画像(j)と同じく、全く多肉化していなかった。補足だが、画像(i)をバラしたのが画像(j)だ。次に、花被の基部に濃色の部分をもったものを選んで(m)、これを縦に切ってみた(n)。やはり多肉化した部分は見られず、カリプトラに包まれた胞子体らしきものが見えるばかりである。カリプトラから内容物をとりだしてみた(o)。緑色の内容物は、未成熟な胞子体なのだろうか。採集標本にはペリギニウムもった個体はなかったようだ。コメントありがとうございました。 | |||||||||||||