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[標本番号:No.514 採集日:2008/09/04 採集地:宮城県、蔵王町] [和名:コバノスナゴケ 学名:Racomitrium barbuloides] | |||||||||||||
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9月4日、宮城蔵王の刈田岳山頂近く(alt 1600m)で、岩尾根の砂礫帯に厚みを持ったコケが広がっていた(a, b)。過去に何度か採集しているシモフリゴケ属の蘚類だろうと思ったが、念のために持ち帰ってきた。湿ると葉を彙状に広げるが(c, e)、乾くと茎に接着気味になる(d, f)。 植物体は長さ5〜8cm、基部で大きく羽状に枝分かれし、個々の枝には葉を密集させた短い枝がつく(c〜f)。太くずんぐりした印象を与え、ややゴワゴワした感触がある。葉は長さ2.5〜3mm、卵状披針形で、葉縁は全縁、湿ると大きく反り返り、中肋が葉頂近くに達し、短めの透明部をもつ(g, h)。透明部には鋸歯があり、長く尖となって伸びる葉もある(i)。 葉身細胞は、方形〜矩形で、厚く波状に肥厚した壁に囲まれ、腔の上には4〜8個の小さな乳頭がある。葉の中央部では、葉身細胞の長さは8〜20μm(j)、基部近くでは、20〜35μmで腔上に乳頭はない(k)。翼部には、薄膜大形の矩形細胞が並ぶ(l)。 |
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葉縁部の細胞の厚さ、乳頭の様子などを確認するため、何ヶ所かで葉の横断面を切り出してみた(m, p, q)。葉縁の細胞はすべて1層からなり(m)、葉の基部近くでは乳頭はほとんどないか、ごく僅かにみられる程度だった(q)。中肋にステライドはない。葉の折れ曲がった部分で乳頭の様子を確認してみた。葉の中央部付近(n)と基部付近(o)。茎に中心束はない(r)。 コバノスナゴケだろうと判断したが、念のために平凡社図鑑のシモフリゴケ属検索表をたどってみた。観察結果はコバノスナゴケを示唆している。図鑑では種の解説は非常に簡単だが、間違いなさそうだ。 |
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