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[標本番号:No.513 採集日:2008/09/04 採集地:宮城県、蔵王町] [和名:ケヘチマゴケ 学名:Pohlia flexuosa] | |||||||||||||
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宮城蔵王の刈田岳山頂近く(alt 1600m)で、砂礫に濡れて水滴を帯びたコケが薄く広いマットをつくっていた(a)。乾燥しても、葉はほとんど縮れることなく、わずかに茎に接着気味になる(b〜d)。茎は高さ1〜1.5cm、ほとんど分枝せず、上部の葉の葉腋には、細く捻れた小枝状の無性芽を多数つけている(e)。 葉は楕円状披針形で、長さ1.5〜2mm、舷はなく、葉縁はほぼ全縁で、上部に小歯があり、中肋が葉頂近くに達する(f, g)。葉身細胞は、ウジ虫状〜線状六角形〜線形で、幅6〜10mm、長さ80〜100μm(i)、葉頂近くでは長さがやや短く、60〜80μm(h)、どの部分でも薄膜で平滑。翼部は未分化で、葉基部でも葉身細胞の形や大きさは変わらない。 葉の横断面で、中肋にステライドはない(j)。茎の横断面には、中心束といってもよさそうな透明で小さな細胞の集合束がある(k)。小枝状の無性芽は、長さ0.5〜0.8mm、捻れた筒状で、先端部は尖った1細胞からなる(l)。
ハリガネゴケ科 Bryaceae の蘚類だろう。朔をつけた個体がなかったが、平凡社図鑑の検索表をたどると、ヘチマゴケ属 Pohlia に落ちる。図鑑によると、分類は容易ではない、とある。種への検索表をたどると、ケヘチマゴケ P. flexuosa、ミネハリガネゴケ P. ludwigii、ホソエヘチマゴケ P. proligera、キヘチマゴケ P. camptotrachela のグループに落ちる。 |
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