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[標本番号:No.525 採集日:2008/10/12 採集地:群馬県、草津町] [和名:ウマスギゴケ 学名:Polytrichum commune] | |||||||||||||||||||
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今月12日に草津白根山の山頂直下、標高2,100mの明るい岩礫帯にスギ
ゴケ属の群落が広がっていた(a, b)。角張った朔をつけ、乾燥した部分が茎に密着していたのでスギゴケ属と推定した。茎は高さ4〜5cm、柄の長さ3〜4cmの朔をつけたものが目立った(b, c)。 ほとんど分枝せず、葉は卵形の鞘部から披針形にのび、長さ6〜12mm、腹面全体が薄板に被われ、葉縁は織り込まれることなく、上半部には小さな歯がある(d〜f)。鞘部の葉身細胞は、長さ60〜100μm、幅6〜12μmの矩形(g)。薄板を腹面側からみると、やや横広の楕円形の数珠が繋がったようにみえる(h)。葉の横断面を各所で切り出して薄板の様子をみた(i)。薄板はおおむね高さ8細胞で、基部に近づくと低くなり、頂端細胞は厚壁で上面は凹状になっている(i)。葉の披針形基部と鞘部との境界付近の横断面をみると、一部の葉では中肋から葉縁までの葉身部が3細胞層の厚みをもっている(j)。また、茶褐色となった古い葉では薄板を構成する細胞が内容物を失い、骸骨のようになっている(k)。薄板を側面から見ると上辺が厚壁で軽く凸凹している(l)。茎の横断面はおおざっぱに三層に分かれている。中心束は明瞭に分化しよく発達している(m)。 朔は角柱状で、柄に対して傾いてつき、頸部が深くくびれる(n)。朔歯は64枚。朔歯(o, p)、朔の横断面(q)、朔柄の横断面を確認した(r)。朔柄は古くなったせいか、内部がほとんど空洞に近い状態となっていた。 葉縁が内側に折り畳まれず、薄板の頂端細胞が厚壁で凹状となっていることから、ウマスギゴケ Polytrichum commune だろう。岩礫帯という思いがけない環境に群生していたこと、葉縁の歯がほとんど目立たぬほど小さいこと、鞘部と緑色披針形部との境界付近で葉身細胞が三層になっているなど、典型的なウマスギゴケとはやや異なるが、これも変異の幅なのだろう。 |
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