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[標本番号:No.473 採集日:2008/07/19 採集地:岐阜県、高山市] [和名:ホソバミズゴケ 学名:Sphagnum girgensohnii] | |||||||||||||
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暑い夏の日高山市の安房平(alt 1500m)で、暗くジメジメした針葉樹林の樹下一面にミズゴケが群生していた(a, b)。一部ではオオスギゴケの群落と混生していた。 茎は長さ8〜12cm、淡緑色〜淡緑褐色(c)。枝葉は開出枝より下垂枝が長い(d)。茎葉は長さ1mm前後、枝葉は長さ1.2〜1.5mm(e)。茎の表皮細胞は矩形で表面には0〜1個の孔があり(f)、横断面で表皮細胞は3層(g)。一方枝の表皮にはクビの短いレトルト細胞が3〜4列ある(h, j)。 茎葉は舌形で、先端は総状となり、葉縁には舷があり、舷は上部では狭いが、中央部から下部では葉幅の2/3まで広がっている(j)。茎葉の透明細胞には、上部から中部では隔膜がなく貫通している(k, l)。茎葉下部では隔膜がある。 |
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(開出枝の)枝葉は、卵状披針形で(e)、葉上半は僧帽状、先端はややササクれ、縁は全縁で、深く凹む。開出枝と下垂枝の両者の透明細胞に大きな違いはないので、透明細胞の画像は開出枝についてのみ掲載した。
枝葉背面中央の透明細胞には、縁に貫通する楕円形の孔が並んでいる(n)。一方、枝葉腹面中央の透明細胞には、ほとんど孔は見られない(p)。腹面上部の透明細胞には孔が見られる(o)。枝葉の横断面で、葉緑細胞は台形〜楕円形で、台形では腹側に底辺があり、楕円形の細胞では腹側により広く開いている(q, r)。
茎や枝の表皮細胞に螺旋状肥厚がないから、オオミズゴケ節 Sect. Sphagnum ではない。茎葉が大形ではないし、舷が大きく広がっているから、ウロコミズゴケ節 Sect. Squarrosa ではない。さらに枝葉の葉緑細胞が腹側に広く開いているから、キレハミズゴケ節 Sect. Insulosa でもなく、キダチミズゴケ節 Sect. Rigida でもなく、ハリミズゴケ節 Sect. Cuspidata でもない。となると、スギバミズゴケ節 Sect. Acutifolia のミズゴケということになる。
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