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[標本番号:No.534 採集日:2008/10/11 採集地:長野県、山ノ内町] [和名:コサンカクミズゴケ 学名:Sphagnum recurvum var. tenue] | |||||||||||||
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10月11日に志賀高原の小湿原(alt 1800m)で採集したミズゴケは、やっと残り二つになった。今日はそのうちのひとつを観察した(a, b)。植物体は淡黄緑色でオオミズゴケなどと混生していた。枝はあまり密集することなくつき、開出枝と下垂枝はほぼ同長で(d)、茎には先の尖った三角形の葉がついている(e)。茎葉は枝葉よりやや短い(f)。 茎は緑色で、長さ8〜15cm(c)、表皮細胞は矩形で表面に孔はなく(g)、横断面で木質部との境界は不明瞭(h)。枝には首の短いレトルト細胞が2〜3列ある(i, j)。 茎葉は長さ0.7〜0.9mm、三角形〜卵状三角形で、先端はやや尖り、葉縁には全体にわたって舷があり、葉中央部から下部では葉幅の2/5〜2/3をしめる(k, l)。茎葉背面の透明細胞上部には糸や偽孔があり(l)、中央部では糸も偽孔もない(m)。 |
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開出枝の枝葉は披針形で、長さ0.9〜1.5mm、乾くと葉縁は波打ち、葉の上半部が反り返る。枝葉背面上部の透明細胞には上端に孔があり(o)、背面中央では偽孔や糸があり(p)、腹面透明細胞には孔、偽孔、糸が見られる(q, r)。 下垂枝の葉は、開出枝の葉よりやや小さく、披針形〜卵状披針形で、長さ0.7〜0.9mm。枝葉背面上部の透明細胞には、上端に大きな貫通する穴がある(s)。背面中央の透明細胞では穴はやや小さい(t)。枝葉の腹面側の穴は小さく、偽孔もある(u, v)。 枝葉の横断面で、葉緑細胞は三角形で、葉の背側に広く開き、腹側にまで達する(w, x)。
茎の表皮細胞に螺旋状肥厚も孔もなく、枝葉の横断面で葉緑細胞が背側に広く開き、透明細胞背面に多数の小さな穴はなく、茎葉は枝葉より小さく、乾燥すると枝葉の縁が波打つ、などからハリミズゴケ節 Sect. Cuspidata の種だと思われる。
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