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[標本番号:No.560   採集日:2008/05/18   採集地:東京都、奥多摩町]
[和名:チャボスギゴケ   学名:Pogonatum otaruense]
 
2008年12月17日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
 標本を整理していたら、半年ほど前に東京の奥多摩で採取した標本がいくつか転がり出てきた。残置標本があることに気づかなかったのは、採取時にフィールドで撮影していなかったことが大きいようだ。採取時に標本番号すら記入されていなかった。
 標本はすっかり乾燥して、褐色となり葉は巻縮していたが、日向の林道脇の岩にこびりついていた。これが採取した標本のすべてだったらしい(a)。ここから観察用標本を選び出した(b)。水没させること10分ほどで、ようやく葉が展開してくれた(c)。葉は長さ2〜6mm、鞘部は卵形で長楕円形〜長舌形に伸び、先端はやや鈍く尖る(d)。上半部の縁には小さな歯があり(e)、鞘部の縁は平滑(f)。薄板が葉身腹面の大部分を覆っている(g)。
 葉の横断面で、薄板は4〜5細胞の高さで、上端細胞は二叉したものが多い(h, i)。薄板を側面からみると、上端が凸凹している(j, k)。

 朔をつけた個体はないが、ニワスギゴケ属 Pogonatum だろうと思う。平凡社図鑑で種への検索表をたどると、チャボスギゴケ P. otaruense に落ちる。大きな決め手は、葉の腹面薄板の上端細胞に二叉するものが多いことだ。