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[標本番号:No.565 採集日:2008/12/20 採集地:山梨県、丹波山村] [和名:ナガバチジレゴケ 学名:Ptycomitrium linearifolium] | |||||||||||||
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昨年12月に奥秩父丹波山村の林道脇で、日当たりのよい岩壁に丸い群落を作っていたコケを観察した(a, b)。湿っているときは緑色も鮮やかだったが、乾燥すると暗緑色になり葉が強く巻縮した(b〜d)。植物体は背丈2cmほどで、茎は直立し、基部近くで分枝する。 葉は卵状の基部をもち線状披針形に伸び、長さ5〜6mm、葉縁上部には2〜4細胞からなる歯があり、中肋が葉頂直下まで達する(e, f)。KOHで黄褐色に変色する(g)。葉身細胞は方形〜短い矩形で、内径6〜12μm、厚壁で平滑(h)、葉身下半では10〜30μmの長い矩形となり(i)、基部では透明薄壁の大形矩形の細胞となる(j)。葉の横断面で、中肋には顕著なガイドセルとステライドがみられ(l)、葉先付近ではステライドは不明瞭で葉縁は2細胞からなる(k)。 |
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茎は褐色をおび、横断面で中心束があり、表皮細胞は小さい(m)。採集した標本は多数の朔をつけていた。帽には顕著な縦皺があり、はじめ朔の大半を覆っているが、胞子が成熟するころには朔の中ほどまでを覆う。朔柄は長さ4〜6mm、表面は平滑で基部は褐色(n)、雌苞葉は、普通の葉とほぼ同じ形で小さい。帽をつけた個体から老いた朔までを列挙してみた(o〜r)。
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朔歯は一列で16枚からなり褐色披針形(s)、口環は未発達で、朔歯は基部近くまで二裂し、表面は小さな乳頭に覆われる(t〜v)。朔柄の横断面(w)、若い朔の横断面(x)、朔の表皮細胞(y)をみた。朔の基部、雌苞葉に包まれた部分には、雄小枝らしきものが散見された(z)。 ギボウシゴケ科のチジレゴケ属 Ptycomitrium の蘚類だろう。平凡社図鑑で検索表をたどると、ナガバチジレゴケ P. linearifolium に落ちる。種の解説を読むと、観察結果とほぼ一致する。この種にであった、というか採集したのは久しぶりのことだった。 |
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