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[標本番号:No.584 採集日:2009/02/07 採集地:静岡県、河津町] [和名:オオギボウシゴケモドキ 学名:Anomodon giraldii] | |||||||||||||
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伊豆半島の旧天城トンネル、通称踊り子トンネルの近くの沢で採取したコケを観察した。標高640m、沢の急斜面に立つ樹木の基部に近い樹幹に群落をなしていた(a, b)。一次茎は細くて樹幹表面を這い、二次茎は高さ3〜4cm、中部から上部で樹状に枝を出し、枝は湾曲する。乾燥すると葉は茎に密着するが、巻縮することはない(c〜e)。 枝葉は上部、中部、下部で大きさに相違があり、中部の葉がもっとも大きい。ここでは中部の緑色が濃い葉を観察した。枝葉は、長さ2〜2.2mm、卵形で披針形に伸びた葉先は細く尖り、葉基部の両側は細く下延し、葉縁は全縁で、太い中肋が葉頂に達する(f, g)。 葉身細胞は、不規則な矩形〜多角形〜菱形で、長さ8〜12μm、厚壁で、表面には背腹ともに小さなパピラが4〜6つある。細胞の輪郭部は明瞭に捕らえられる(h)。葉の基部両端の細胞は小さな矩形だが、中央部の細胞は長さ20〜30μmの長楕円形で表面は平滑(i)。 葉の横断面を下部(j)と中部(k)で切り出した。中肋にはステライドはなく、葉身部両面のパピラがよくわかる。茎の横断面に中心束はなく、表皮細胞は小形で厚壁(l)。 シノブゴケ科 Thuidiaceae キヌイトゴケ属 Anomodon の蘚類だろう。平凡社図鑑で種への検索表をたどると、すなおにオオギボウシゴケモドキ A. giraldii に落ちる。種の解説をよむと、観察結果とほぼ合致する。 |
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