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[標本番号:No.612 採集日:2009/03/17 採集地:愛知県、新城市] [和名:オオサワゴケ 学名:Philonotis turneriana] | |||||||||||||
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愛知県の鳳来寺山の麓の温泉宿赤引に宿泊したおり、部屋の前の廊下脇の石段についていたコケを採集した。朝露に濡れた葉と未成熟な丸い朔が瑞々しかった。 茎は長さ3〜5cm、下部には葉はほとんどなく仮根を密につけ、上半部に黄緑色の葉を密につけ、茎自体は赤褐色(d)。葉は線状披針形で、基部近くが最も幅広く、長さ1.2〜1.5mm、葉先は鋭く尖り、葉縁には細かい歯がある(e〜g, k)。中肋は葉頂から突出する。乾燥すると著しい縦しわが生じ、葉は紐状に見える(h〜j)。 葉身細胞は、長い矩形〜線形で、長さ30〜65μm、幅5〜10μm、背面では平滑だが、腹面の細胞上端は顕著に突出する(l, m, o)。翼部明瞭には分化していないが、矩形〜六角形の短い細胞が並び、腹面先端の突出は弱いかほとんどない(n)。葉の横断面で中肋背面の細胞はやや薄膜で大きい。茎の横断面には中心束があり、表皮細胞は大形薄膜(p, q)。 |
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朔柄は2〜3cm(d)、朔は球形で山笠形の蓋をもつ(r)。採集した個体では、すべての朔が未成熟で蓋との分離もできなかった。朔の基部には多数の気孔がある(s)。仮根の表面は普通にみると平滑だが、倍率を上げると微細な乳頭がある。KOHで封入すると黄色味が増す(u)。
サワゴケ属 Philonotis の蘚類には間違いない。この仲間の同定では、葉の形、葉身細胞の腹面と背面の突起の態様が重視されているようだ。葉身細胞の状態を確認するにあたっては、葉を取り外して、はじめに背面をチェックした。次いで同じ葉をひっくり返して腹面を確認した。合焦位置を間違えると、両面ともに細胞上端に突起があるかのように見える。 |
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