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[標本番号:No.651 採集日:2009/05/23 採集地:栃木県、日光市] [和名:ヒメミズゴケ 学名:Sphagnum fimbriatum] | |||||||||||||
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5月23日に栃木県の鶏頂山の湿原で採集したスギバミズゴケ節 Sect. Acutifolia と思われるミズゴケを観察した(a, b)。オオミズゴケ Sphagnum palustre に混じって、高層湿原の縁から水面近くに群生していた。植物体は長さ10〜12cm、枝を疎につける。下垂枝が開出枝よりやや長く、葉を含めた枝の幅は下垂枝と開出枝との大きな違いはない(c〜e)。 茎の表皮細胞は矩形で、0〜2個の孔がある(g)。茎の横断面で、表皮細胞は2〜3層(h)。茎には茎葉に密着している(f)。 茎葉は長さ0.9〜1.1mm、舌状〜扇状で、中央から上部では透明細胞に膜壁がなく、大きく広がって、総状に避ける。茎葉の基部には広い舷があり、中央下部付近から上では舷はない。茎葉の葉身細胞は背面側も腹面側も違いは見られない(k, l)。茎葉の横断面をみると、膜壁が無かったり、不明瞭だったりする(m)。 |
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枝の表皮細胞に見られるレトルト細胞は1〜2列で、首は短い(n, o)。 開出枝の葉は、卵状披針形で、長さ1.0〜1.3mm、深く凹んで、先端は軽く反り返る(p)。下垂枝の葉では先端の反り返りは弱いかほとんどなく、形や葉身細胞の様子は開出枝の葉と変わらない。以下開出枝の葉で枝葉を代表させる。 枝葉背面の透明細胞には貫通する大きな孔が並ぶ(r, s)。枝葉腹面の孔は背面のそれよりも大きく、孔の縁もやや肥厚している(s〜u)。枝葉の横断面で、葉緑細胞は矩形〜台形で、背腹に開いており、腹側にやや広く開いている。
茎や枝の表皮細胞に螺旋状肥厚がなく、茎葉は小さく舷が基部で広くなり、枝葉の透明細胞の接合面に小さな孔がならぶことはなく、枝葉の横断面で葉緑細胞が背腹両面に開き底辺が腹面側にあることから、スギバミズゴケ節のミズゴケだろう。現地で20倍ルーペで、上記及び茎葉が扇型に開き、茎葉上半の縁が総状になっていることまでは確認していた。 |
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