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[標本番号:No.667 採集日:2009/07/11 採集地:群馬県、日光市] [和名:コバノエゾシノブゴケ 学名:Thuidium recognitum var. delicatulum] | |||||||||||||
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栃木県の鶏頂山の登山道(日光市側)の途中(alt 1500m)で、やや湿った薄暗い林床から岩にかけて、シノブゴケ科の蘚類が大きな群落をなしていた(a)。現地でルーペで見た限りでは、茎葉の先端は透明な芒となっておらず、茎や枝の表面は多くの毛葉に被われていた。 茎はかたく、長くはい、数回羽状に平面的に分枝する。茎葉はまばらで、枝葉に比して非常に大きい(b〜f)。茎葉は、長さ1.4〜1.6mm、縦に著しい皺があり、先端は透明尖にはならず、細胞表面には1個の尖った牙状の乳頭がある。中肋は葉先には届かない。茎葉の葉身細胞は、壁が厚く、菱形〜長楕円形で、基部では矩形となるが、翼部はあまり発達しない(g〜l)。中肋の横断面にステライドはない(k)。 |
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枝葉は、大きな枝と小さな枝とでは大きさが倍以上異なり、卵型で、長さ0.2〜0.5mm。枝葉の背面の葉身細胞には中央に一つの牙状乳頭があり(m, n)、大きな枝の葉では先端の細胞に2〜3個の尖った乳頭がある(o)。中肋が葉長の3/4に達する。 茎の横断面で、中心束があり、表皮はやや厚膜の小さな細胞からなる。毛葉は多くが1細胞列だが、葉状のものもある。毛葉の先端は鋭く尖り、細胞の腔上に一つの乳頭がある(q, r)。 シノブゴケ属 Thuidium の蘚類には間違いない。平凡社図鑑の検索表をたどると、オオシノブゴケ T. tamariscinum ないしコバノエゾシノブゴケ T. recognitum var. delicatulum となる。この両者は、内雌苞葉をつけていれば比較的楽に区別できるようだが、採取した標本には朔や雌苞葉をつけたものはない。比較的大きな枝葉の先端細胞をみると、複数のパピラがあるので、オオシノブゴケではなく、コバノエゾシノブゴケと判断した。 |
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