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[標本番号:No.683   採集日:2009/07/31   採集地:福島県、福島市]
[和名:ヒナミズゴケ   学名:Sphagnum warnstorfii]
 
2009年8月26日(水)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(a) 植物体全体、(b) 植物体主要部、(c) 枝と茎、(d) 開出枝と下垂枝、(e, f) 茎と茎葉、(g) 茎の表皮、(h) 茎の横断面、(i) 枝の表皮、(j) 枝の横断面、(k) 茎葉、(l) 枝葉

 7月31日に採集したミズゴケはまだ十数サンプル残っているが、今日はそのうちの一つ、赤みを帯びて繊細なミズゴケを観察した。この日撮影したほとんどの蘚類の現地生態写真は、操作ミスで失ってしまい、アップできない(「たわごと」→「苦労して撮影した写真が・・・」)。
 植物体は高層湿原の一角に群生していた。茎は長さ4〜6cm、枝は開出枝2本と下垂枝2本が束になって出ている箇所が多い。茎の表皮細胞に螺旋状肥厚はなく、孔も見られない。茎の横断面で表皮細胞は3〜4層で、木質部との境界は明瞭。枝には3〜5列にレトルト細胞が並び、レトルト細胞の首はやや長い。茎葉と枝葉とは形は異なるが、長さはおおむね似通っている。
 
 
 
(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
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(s)
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(t)
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(u)
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(v)
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(w)
(w)
(x)
(x)
(m) 茎葉、(n) 茎葉背面上部、(o) 茎葉背面中央、(p) 茎葉腹面上部、(q) 茎葉腹面中央、(r) 枝葉:開出枝の葉、(s) 枝葉背面上部、(t) 枝葉背面中央、(u) 枝葉腹面上部、(v) 枝葉腹面中央、(w, x) 枝葉横断面

 茎葉は長さ1.1〜1.3mm、舌形で舷が葉先に達する。舷は中央部から上では3〜4列ほどだが、下部では広がっている。茎葉背面上部の透明細胞には糸と孔があるが、腹面の透明細胞には孔と糸は少ないかほとんどない。
 枝葉は卵状披針形で、長さ1.2〜1.4mm。背面上部から中央部にかけての透明細胞には縁が厚くて明瞭にリング状にみえる孔がある。縁の厚い孔は単孔ばかりではなく、双子孔や三子孔をなしている。枝葉腹面の透明細胞には縁の厚いリング状の孔はなく、偽孔らしき孔がある。枝葉の横断面で、葉緑細胞は三角形で腹面側により広く開いている。

 スギバミズゴケ節 Sect. Acutifolia のミズゴケに間違いない。というより、現地でウスベニミズゴケ Sphagnum capillifolium var. tenellum か、ヒナミズゴケ S. warnstorfii だろうと思っていた。枝葉背面の透明細胞に、縁の厚い貫通する孔があることから、ウスベニミズゴケではなくヒナミズゴケとするのが適切と思う。念のために、平凡社図鑑の検索表ばかりでなく滝田(1999)の検索表をたどってもヒナミズゴケに落ちる。同文献のヒナミズゴケについての解説を読むと、茎葉腹面の透明細胞についての記述を除いて、観察結果とおおむね一致する。