(g, h) 茎の葉、(i, j) 雄花盤の周りの葉、(k, l) 頂部から出た枝の葉、(m, n) 葉先付近、(o) 葉の先端部、(p) 葉中央の葉身細胞、(q) 葉の横断面、(r) 茎の横断面 |
茎の中央部から上部の葉は、卵状披針形で長さ2.2〜2.8mm(g, h)。雄花盤直下の葉(苞葉)は、広卵状楕円形で長さ3〜3.5mm(i, j)。茎頂直下から分かれた枝の葉は小さく、楕円形で長さ1.1〜1.5mm(k, l)。
どの部分の葉にも、葉縁に舷はなく、葉の上半部には一重の歯があり、中肋が葉頂付近で終わる(h, j, l)。中肋上部背面には歯がある(m, n)。葉身細胞は厚壁で丸みを帯びた多角形で、長さ12〜22μm(p)。翼部は分化せず、葉身細胞は葉の基部でやや長めになる。葉の横断面で中肋にはガイドセルがあり、背面にはステライドもある(q)。葉身部の横断面で表面はほとんど平滑かわずかに丸みを帯びている。茎の横断面には中心束がある(r)。
葉身細胞が厚壁で丸みを帯びた多角形、強壮な中肋が葉頂近くに達し、葉縁には舷がなく、葉上半部の縁に歯があることなどから、チョウチンゴケ科 Mniaceae の蘚類だろう。平凡社図鑑でチョウチンゴケ科から属への検索表をたどると、コバノチョウチンゴケ属 Trachycystis となる。
ついで属から種への検索表をたどると、ユガミチョウチンゴケ T. ussuriensis に落ちる。種の解説を読むと観察結果とおおむね一致する。図鑑には「(葉身細胞の)マミラは不明瞭なことが多い」とある。
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