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[標本番号:No.730 採集日:2009/09/20 採集地:福島県、昭和村] [和名:サンカクミズゴケ 学名:Sphagnum recurvum var. brevifolium] | |||||||||||||||
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先月21日に南会津の昭和村の小湿地(alt 1100m)で出会ったミズゴケを観察した。乾燥すると枝葉の縁が波打ち、ルーペで見ると葉緑細胞は枝葉の背面側に広く開いていた。現地では、姿などからハリミズゴケ節 Sect. Cuspidata のミズゴケで、茎葉がほぼ正三角形で小振りなことから、サンカクミズゴケかアオモリミズゴケだろうと予測していた。 持ち帰った標本を観察するにあたって、とりあえず先入観抜きで茎や枝の表皮から観察した。茎の表皮細胞は矩形で孔はなく、横断面で表皮細胞と木質部と明瞭な境界はない。枝の表皮にはレトルト細胞が2〜3列に並び、首は短い。 茎葉は長さ1.0〜1.2mm、ほぼ正三角形で、上部の縁が巻き込んで葉先が尖って見える。舷は上部では狭く、中央部から下部では全体に広がっている。葉緑細胞が背面に広く開き、腹面側にはほとんど開いていない。 |
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開出枝の葉は長さ1.8〜2.2mm、披針形〜卵状披針形。下垂枝の葉は長さ1.0〜1.4mm、卵状披針形。枝葉の横断面で、葉緑細胞は二等辺三角形〜正三角形で、背面側に広く開き、腹面側には達していない。開出枝の葉ではやや不明瞭だが、下垂枝の葉の透明細胞腹面には円形や半円形の偽孔がある。 乾燥すると枝葉の縁が波打ち、枝葉の横断面で透明細胞が背面側に広く開き、茎葉が三角形で下半で舷が幅広く広がっていることから、ハリミズゴケ節の蘚類には間違いない。平凡社図鑑の検索表をたどると、サンカクミズゴケあるいはアオモリミズゴケ、コサンカクミズゴケとなる。滝田(1999)の検索表からはサンカクミズゴケに落ちる。滝田のサンカクミズゴケの解説を読むと、ほぼ観察結果と一致する。 |
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