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[標本番号:No.732 採集日:2009/09/21 採集地:福島県、南会津町] [和名:ヤナギゴケ属 学名:Leptodictyum sp.] | |||||||||||||||||||
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先月21日に福島県南会津町の山道で(alt 750m)、石壁に繊細な蘚類が広くて薄く柔らなマットを作っていた(a)。茎ははい、不規則羽状に多くの枝を出す。茎は長いもので2〜3cm、枝は葉を含めて、乾燥時は幅0.8〜1.0mm、湿時は幅1.0〜1.2mm。 茎葉は長卵状披針形で、長さ1.0〜1.4mm、葉先は漸尖し、葉縁の全面に小さいが明瞭な歯がある。中肋が葉の中央部より先まで伸びる。枝葉は茎葉と同じような形で、長さ0.7〜0.8mm、葉縁の歯や中肋は、茎葉と同じ。 葉身細胞は、茎葉と枝葉で変わりなく、長い紡錘形〜線形で、長さ45〜55μm、幅6〜8μm、薄膜で平滑。翼部は明瞭には分化せず、幅広で短い矩形の細胞が並ぶ。茎や枝の横断面には、非常に弱い中心束があり、表皮細胞は薄膜でやや大形の細胞からなる。 茎に毛葉はなく、葉形の偽毛葉がある。いずれも未成熟だったが、朔は傾いてつき、非相称、僧帽型の帽、円錐形の蓋があり、朔柄の表面は上部から基部まで平滑。
うまく切り出せなかったので画像は掲載しなかったが、葉の横断面で、中肋にはガイドセルもステライドもなく、葉身細胞の表面は平滑だった。また、雌苞葉は枝葉とほぼ同じ形で、こころもち細長い部分が長く、葉身細胞の様子なども枝葉と同じだった。 保育社図鑑で属から種への検索表をたどると、ヒロハフサゴケ Brachythecium salebrosum に落ちる。解説をよむと「ケヒツジゴケ B. wichurae に似るがやや小型」とあるが、詳細な解説はない。そこで、平凡社図鑑でケヒツジゴケの解説を読むと、枝葉は小さくて卵形、葉身細胞は線形で長さ85〜100μm、翼部は広くて明瞭な区画を作るとある。一方、ヒロハフサゴケについては、ケヒツジゴケより小形で、葉身細胞が長さ65〜85μm、翼細胞が小さくて方形〜矩形、とある。
そこであらためて平凡社図鑑のアオギヌゴケ属から種への検索表をたどると、ケヒツジゴケとヒロハフサゴケの分岐とは別の分岐に落ちる。そこには、オカヒツジゴケ B. sapporense、ヤリヒツジゴケ B. hastile、ノグチヒツジゴケ B. noghuchii の3種が掲載される。
[修正と補足:2009.10.21] |
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