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[標本番号:No.792 採集日:2009/10/14 採集地:秋田県、東成瀬村] [和名:ウキヤバネゴケ 学名:Cladopodiella fluitans] | |||||||||||||||||||
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今日観察した苔類も栗駒山周辺の湿地で採集したミズゴケ(標本No.787)の茎に絡みついていたものだ。同じ種と思われる苔類は、他の標本にも数本ずつ絡みついていたが、標本数が少ないので処分してしまった。No.787に混生していたものは比較的個体数が多かったので(a)、新たに標本番号No.792を立てて観察することにした。
植物体は緑色から褐色で、茎は長さ1〜4cm、葉を含めた茎の幅は2〜3mm、分枝は比較的少なく(a, b)、腹面側からムチゴケ型の分枝をする(f)。分枝した枝には鞭状のものもある。仮根は白色透明で、腹面側からまばらに出る(g, h)。葉は離在し、茎に斜めについて瓦状につき、楕円形から方形で、長さ0.8〜1.0mm、幅もほぼ等しく、1/4〜1/3まで2裂し、裂片は三角形〜放物形で鈍頭〜円頭(d, e, j, k)。ときに3裂する(d)。 ヤバネゴケ科 Cephaloziaceae の苔類だろう。保育社図鑑の検索表をたどると、すんなりとウキヤバネゴケ属 Cladopodiella に落ちる。同図鑑には日本産1種としてウキヤバネゴケ C. fluitans だけが掲載されている。そこで平凡社図鑑をみると日本産2種とあり、ヒメウキヤバネゴケ C. francisci が検索表に載っている。しかし、種の解説にはウキヤバネゴケしかない。検索表の簡略な解説から、本標本はヒメウキヤバネゴケでないことは明らかである。両図鑑でウキヤバネゴケについての解説を読むと、観察結果とほぼ符合する。
それにしても、この標本では腹葉が非常にわかりづらかった。中には長さ0.8mm幅0.4mmという大きなものがあったが、大部分は細い糸状で、仮根よりやや幅広のため、見落としやすい。また、仮根は白色透明なため、撮影するとほとんどわかりづらくなってしまうので(g)、サフラニンで染めることになった(h)。 |
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