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[標本番号:No.827 採集日:2009/12/13 採集地:栃木県、鹿沼市] [和名:シモフリゴケ属 学名:Racomitrium sp.] | |||||||||||||||||||
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前日光林道を足尾方面に向かう途中、粕尾峠下の河原で(alt 840)、転石の表面に群生していた蘚類を採取した(a, b)。雨の後だったせいで、葉を展開させていた。乾燥すると葉が茎に密着する(b, e)。朔をつけた個体もいくつかあった。 茎は高さ2.5〜4.5cm、不規則に枝を出し(c, d)、横断面に中心束はなく表皮細胞は小さい(o)。葉は卵形の基部から漸尖して披針形に延び、長さ3〜4mm、葉縁は反曲し、葉上半部では中肋を軸にほぼ直角に折れ曲がり、先端付近では筒状となる(g, h, i)。葉頂部に透明尖はない。葉に縦皺はない。中肋は弱く、葉頂には達しない。中肋以外の葉面は一細胞層からなる。 葉身細胞は矩形で、葉中央部では長さ15〜25μm、基部では30〜45μm、縦の壁が波状に肥厚し、表面は腔上にも壁上にも多数の小さな乳頭がある。翼部は細胞が長くなるだけでほとんど分化せず、葉縁に一列だけ、平滑でやや薄膜の矩形の細胞が15〜25個並ぶ(l)。葉の横断面で、乳頭は低く、中肋にはガイドセルはなく、ステライドの有無は不明瞭(m, n)。 朔柄は黄緑色〜黄褐色で、長さ8〜12mm、表面は平滑(c, p, q, aa)。朔は長卵形〜楕円形で、僧帽形の帽と、長い嘴状突起のある蓋をもつ(r)。帽は朔の上半部を覆う。乾燥すると朔の表面は縦に隆起したような太い皺ができる(q, r)。 |
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朔歯は一重で16枚からなり、ひとつ一つは披針形〜線状披針形、基部近くで二裂し、表面はイボ状の乳頭に覆われる(s〜x)。口環が発達する(x)。朔の基部には気孔がある(y)。胞子は径15〜18μm。
朔をつけた個体は数十個あり、外見からは十分成熟しているように見えたが、いずれも蓋と本体を外せる状態のものはなかった。そこで、蓋を含めて縦に半切し、内側から朔歯の形や本数を確認した(s)。胞子も未成熟なのかもしれない。 |
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