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[標本番号:No.855 採集日:2010/03/17 採集地:千葉県、大多喜町] [和名:ニワツノゴケ 学名:Phaeoceros carolinianus] | |||||||||||||||||
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昨日房総半島南部の麻綿原高原で(alt 205m)、林道脇の湿った岩壁に若いツノゴケ類が小さな群落を作っていた(a, b)。ツノゴケ類を採取したのは久しぶりだった。 葉状体は、長さ6〜12mm、幅2〜5mm、不規則に二叉状に分枝し、縁は波状となっている。多数の胞子体が顕著な鞘状の苞膜の中から伸び上がっている。葉状体は中肋部と翼部が分化せず、腹面中央には仮根が密生する。 葉状体の横断面をみると、表皮細胞は内部の細胞よりずっと小さく、表皮細胞には大きな葉緑体が一つあり、葉緑体にはピレノイドがある。表皮細胞をメルツァー液(ヨードを含む)で封入すると、ピレノイドがアミロイド反応を示し暗紫色に変わった。 胞子体は細長い円筒状で、高さ15〜20mm、基部は鞘状の苞膜に包まれる。苞膜は円錐台形で、表皮細胞は葉状体の表皮細胞と同様に葉緑体を一つ含み、内部組織を作る細胞より小さい。胞子体表面には気孔が散在する。
ニワツノゴケ属 Phaeoceros のニワツノゴケ P. carolinianus かコニワツノゴケ P. parvulus だろうと思う。本標本はまだ若いせいか、ロゼットも小さく、立ち上がる胞子体もまだ未成熟だった。胞子体の先が縦裂したものはなく、胞子も未成熟で小さく、まだ黄色味を帯びてはいない。それでも胞子表面には小乳頭が多数ある。弾糸の姿ははっきりせず、軸柱もその他の組織から明瞭に分離していなかった。コニワツノゴケの可能性の方が高いと思うが、コニワツノゴケについて記された文献が手元にないので、とりあえずニワツノゴケとした。 |
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