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[標本番号:No.0934 採集日:2010/04/30 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:ヨシナガムチゴケ 学名:Bazzania yoshinagana] | |||||||||||||||||||
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富士山の奥庭周辺でムチゴケの仲間を採取した(alt 2360m)。やや暗い針葉樹林の林床(溶岩)を覆う腐葉土から出ていた。フィールドでの撮影はしなかった。 茎は長さ3〜8cm、葉を含めた幅は3〜6mm、ヤスデゴケ型に分枝して弱い羽状となり、密に重なった葉を瓦状につけ、腹面の随所からムチゴケ型分枝をして頻繁に鞭枝をだし、全体に硬い感触を与える。鞭枝には極めて小さな葉がつく。葉は長さ2.2〜2.8mm、幅1.3〜1.6mm、卵状楕円形で先端に3歯がある。葉身細胞は丸みを帯びた六角形で、長さ30〜45μm、膜は厚く平滑でトリゴンは大きい。油体は紡錘形で長さ6〜10μm、各細胞に6〜12個ある。腹葉は基部で葉と合着し、扇状方形で長さ0.6〜0.8mm、幅1.0〜1.3mmで茎径の1.2倍ほどあり、やや外曲し、先端部は軽く鉅歯状で、葉身細胞や油体の様子は葉のそれらとほぼ同じ。茎や鞭枝の横断面に中心束はなく、表皮細胞は髄部の細胞からやや分化して厚膜となっている。
花被をつけた個体はみつからなかった。現地では腹葉が葉の基部で合着していることに気づかずに、既に何度も観察してきたムチゴケ属 Bazzania の苔類だろうと思い撮影をしなかった。平凡社図鑑でムチゴケ属の検索表をたどってみた。腹葉が緑色で細胞膜が厚く、葉先はほとんど内曲せず、先端には3歯があり、葉は脱落しにくく、腹葉の幅は茎幅の2倍以下で鋸歯をもち、葉と腹葉は基部で合着し、茎は葉を含めて3〜6mmあり、高山帯に生育することから、すんなりとヨシナガムチゴケ B. yoshinagana に落ちる。平凡社図鑑には種の解説はなく、保育社図鑑の解説もいたって簡略である。 |
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