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[標本番号:No.0937 採集日:2010/05/16 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:コオイゴケ 学名:Diplophyllum plicatum] | |||||||||||||||||||
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富士山の奥庭周辺(alt 2340m)の広葉樹とコメツガの混交林で、仄暗い林床の腐植土に群生していた苔類を採集した。茎は長さ4〜10cm、わずかに分枝し、仮根は少なく、葉を含めた枝の幅は3〜4mm。葉は茎に接在し、不等に二裂して強く折りたたまれ、背片は腹片よりずっと小さく、背片は倒瓦状につく。背片は長さ1.1〜1.5mm、斜めに開出し、長舌形で、縁には微細な歯がある。腹片は曲がった舌形〜楕円形で、長さ1.8〜2.1mm、円頭で葉上半には微細な歯がある。背片と腹片とをつなぐキール部は腹片の2/5ほどの長さがある。腹葉はない。 葉身細胞は類縁形〜丸みを帯びた多角形で、腹片中央部では長さ20〜35μm、やや厚膜で表面には微細な乳頭がある。葉先付近の葉身細胞は方形〜矩形でやや小さく、葉基部ではやや大形の楕円形〜矩形となり膜には括れがある。背片の葉身細胞もほぼ同様で、背腹ともに葉身細胞には大きなトリゴンがある。葉の横断面ではキール部の細胞は壁も厚く、細胞はやや大きい。茎の横断面をみると表皮細胞がやや分化して厚膜となっている。 背片が腹片よりずっと小さく、折れ目は明瞭であることからヒシャクゴケ科 Scapaniaceae の苔類にまちがいない。また、葉の裂片は長楕円形で、葉細胞のトリゴンは大きいからシロコオイゴケ属 Diplophyllum のコオイゴケ D. plicatum にまちがいない。 |
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