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[標本番号:No.0923 採集日:2010/05/09 採集地:栃木県、栃木市] [和名:ツボゼニゴケ 学名:Plagiochasma pterospermum] | |||||||||||||||||||
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栃木県の鍾乳洞に入ったときに、入口内側の薄暗い濡れた石灰岩壁に葉状体の苔類が群生していた。久しぶりに葉状体の苔類を観察してみようと思い持ち帰った(alt 260m)。 葉状体は硬く、長さ1〜3cm、幅3〜8mm、二叉状に分かれ、先端部からは新しい葉状体が伸長する。若い葉状体では腹面翼部も緑色だが、成熟した葉状体では、腹面翼部は紫紅色をしていて、しばしば背面縁に色を見せる。葉状体背面はほぼ平滑で、随所に気室孔がわずかに突出する。気室孔は2〜4列の細胞に囲まれる。横断面で、気室孔は2〜4層に重なり、気室孔はアーチ形で1層の細胞からなる。腹鱗片は紫紅色で左右二列につき、三日月形〜半円形ないし卵形で、付属物は披針形で2〜4つある。仮根は有紋形と平滑形の2種からなる。 雌器床をつけた個体は見つからなかった。ジンガサゴケ科 Aytoniaceae の苔類にはまちがいない。ジンガサゴケ属 Reboulia のジンガサゴケ Reboulia hemisphaerica subsp. orientalis、あるいはツボゼニゴケ属 Plagiochasma のヒナゼニゴケ P. japonicum の可能性も否定できないが、石灰岩にでること、腹面の縁が紫褐色を帯びることから、ツボゼニゴケ P. pterospermum として取り扱った。井上『続・日本産苔類図鑑』(1976)によれば、「葉状体の様子はジンガサゴケによく似ており,雌器床をつけたものでないとほとんど区別できない」とある。 |
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