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[標本番号:No.0900   採集日:2010/05/01   採集地:岡山県、高梁市]
[和名:ヤマトフデゴケ   学名:Campylopus japonicus]
 
2010年5月28日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a) 標本、(b, c) 乾燥時、(d, e) 湿時、(f) 葉、(g) 葉の先端部、(h) 葉上部:樋状になる、(i) 葉翼部:背面側、(j) 葉翼部:腹面側、(k) 葉先、(l) 葉上部の縁

 5月1日に岡山県高梁市で林道脇で、日当たりのよい岩に群生していた蘚類を採取した(alt 180m)。茎は立ち、長さ2.5〜4cm、わずかに分枝して、下部は暗褐色の仮根に覆われる。葉は乾いても縮むことはなく、長さ6〜10mm、上部の葉は緑色で光沢があり、下部の葉は褐色で葉先が崩れたものが多く、いずれもやや幅広い基部から長く針状にのび、上半部から先ではやや樋状となって屈曲する。葉翼部が明瞭に分化し透明〜褐色の区画を作る。葉先の芒状の部分には歯がある。中肋は下部では葉幅の1/2ほどを占め、中部から先では葉幅の大半を中肋がしめる。
 葉の横断面にはガイドセルがあり、葉の中部以下では腹面側の細胞は大形透明で、ガイドセルを挟んで背面側にはステライドが発達する。葉中央下部の葉身細胞は、菱形で長さ15〜25μm、比較的薄膜で平滑、基部近くでは中肋よりにはやや大形方形の細胞が、縁近くには細めで矩形の細胞が並ぶ。葉下部の細胞はやや厚膜で、平滑。翼部には大形方形で薄膜の着色された、あるいは透明な細胞が明瞭な区画を作っている。茎の横断面には中心束があり、表皮細胞は明瞭には分化していない。
 
 
 
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(s)
(s)
(t)
(t)
(u)
(u)
(v)
(v)
(w)
(w)
(x)
(x)
(m) 葉基部の中肋寄り、(n) 葉基部の縁寄り、(o) 葉の翼部、(p, q, r, s, t) 葉の横断面、(u) 葉束の横断面、(v) 葉翼部近くの横断面、(w) 茎と葉翼部の横断面、(x) 茎の横断面

 生態写真をとっていなかったことが悔やまれる。葉翼部の姿が非常に特徴的で、中には翼部が大きく膨らんで袋状になったものがある。シッポゴケ科 Dicranaceae ツリバリゴケ属 Campylopus のヤマトフデゴケ C. japonicus だろう。