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[標本番号:No.0884 採集日:2010/04/30 採集地:岡山県、新見市] [和名:オウムゴケ 学名:Hymenostylium recurvirostre] | |||||||||||||||||||
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このところキノコ関連の行事のため、コケ観察をする時間がとれなかった。まだ、4月末に岡山県で採取したコケがいくつか残っている。そのうちにひとつ、新見市の宇山洞の入口付近の石灰岩壁についていた蘚類を観察した。 ジメジメ湿った石灰岩壁に群生していた蘚類は、わずかに枝分かれし、茎の長さ1〜2cm、乾燥しても葉は展開したままで、縮れることはない。葉は長さ0.9〜1.3mm、披針形で基部近くで強く反曲し、中肋を軸として竜骨状に折れ曲がり、葉の縁は狭く反曲する。 葉身細胞は不規則な方形〜矩形で、葉の中央部で長さ10〜25μm、基部で長さ25〜30μm、不規則に肥厚し、表面には複数の乳頭がある。葉の横断面で、中肋には背側にステライドがある。中肋は葉頂に達する。KOHで葉色が明るい黄色味を帯びる。茎の表面には顕著な乳頭があり、横断面は丸みを帯びた三角形で中心束はなく、表皮細胞はやや大形で薄膜。 センボンゴケ科 Pottiaceae のハナシゴケ属 Gymnostomum の蘚類だろう。平凡社図鑑によれば日本産4種とあり、検索表には4つの種名が掲載されているが、種の解説がされているのはオウムゴケ Hymenostylium recurvirostre だけだ。観察結果に基づいて検索表をたどるとオウムゴケに落ちる。種の解説を読むと、「体は15mm以下」とあるが、本標本は比較的大きいのか、大きなものでは30mmに達する。なお、ここではオウムゴケ属として取り扱った。現地で朔をつけた個体を探したが見つからなかった。観察するにあたって、細かな石灰粉に邪魔されて、葉身細胞の観察や横断面切り出しなどに難儀した。 |
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