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[標本番号:No.0925 採集日:2010/05/15 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:カモジゴケ 学名:Dicranum scoparium] | |||||||||||||||||||
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ここ数日間、茨城県つくば市で行われた菌類学講座に宿泊参加していたので、先に富士山などで採取したコケがいくつも採取袋に入ったまま放置状態となっている。カモジゴケ Dicranum scoparium ないしシッポゴケ D. japonicum と思われる蘚類が多数の朔をつけていた。乾燥すると葉が同方向に倒れ茎との角度も直角ではなく、茎の表面を被う仮根の色が褐色で、葉身細胞が丸みを帯び膜のくびれがさほど強くないことから、カモジゴケとしてよいと思う。
茎は長さ3〜4cm。葉は長卵形のやや広い基部から狭い披針形に伸び、上部は細い溝状、葉身上半部の縁には顕著な歯がある。中肋は葉の基部では葉幅の1/6以下で、上部では葉幅の1/3〜1/5ほどとなり細くなって葉先に届き、上部背面に2〜4列の歯のある薄板がある。葉上部の葉身細胞は長い菱形〜楕円形で長さ20〜50μm、葉下部では長い楕円形で長さ50〜100μm、角は丸みがあり、平滑で膜はやや厚く、くびれがある。翼部はよく発達して大形褐色で方形の細胞が単層ないし2層で並ぶ。葉の横断面で、中肋には明瞭なガイドセルと、背腹両面にステライドがある。茎の横断面には中心束がある。 |
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胞子体は単生で、茎上部や枝分かれした枝先から1本だけ出る。朔柄は長さ2〜3cm、赤褐色で表面は全体にわたって平滑、横断面には中心束がある。朔は長い楕円形で基部は湾曲し、長さ2.5〜3.0mm、非相称。朔歯は一重で、16枚、赤色、披針形で深く二裂し、上部には微細な乳頭がある。朔の基部には気孔がある。 今日はいつもと異なるスタイルで記録した。最初からシッポゴケかカモジゴケだろうと見当をつけ、ルーペで観察した結果はカモジゴケだと思えた。朔を多数つけていたこともあり、配偶体よりも胞子体の観察を主たる目的に採取した。鞘状になった雌苞葉を広げるのは難しく、外雌苞葉ではなんとかうまくできたが、内雌苞葉の葉は広げるとみな千切れてしまった。なお、雌苞葉の縁に細長い細胞が1〜2列ある部分を舷として取り扱った。 |
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