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[標本番号:No.0942 採集日:2010/05/16 採集地:山梨県、鳴沢村] [和名:タチハイゴケ 学名:Pleurozium schreberi] | |||||||||||||||||||
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富士山で朔を多数つけたタチハイゴケの群落に出会った。この蘚類の朔は観察したことがなかったので、一部を標本として持ち帰っていた。茎は赤色で、不規則羽状に分枝し、茎や枝には覆瓦状に葉をつける。葉を含めた枝の幅は0.8〜1.2mm。乾湿で姿はあまり変わらない。 茎葉は長さ1.8〜2.0mm、卵形〜倒卵形で広い円頭、葉面は深く凹み、葉縁はほぼ全縁。中肋は二本で短い。枝葉は茎葉とほぼ同じ形でやや小さく、長さ1.3〜1.8mm、葉先はやや鈍頭で、上部の縁がやや内曲する。 葉身細胞は線形で、長さ35〜65μm、幅5〜6μm、平滑で厚膜。葉先では短く、葉基部に近づくにつて長くなる。翼部は丸みのある方形、厚膜で褐色の明瞭な区画をなす。茎や枝の横断面に中心束はなく、表皮細胞は厚膜で小さい。 |
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雌苞葉は透明な鞘状の部分から急に細くなって先端は鋭頭。外雌苞葉は長さ1.5〜2.0mm、内雌苞葉は長さ3〜4mm。雌苞葉の葉身細胞は線形で、長さ80〜120μm、幅8〜10μm、平滑で厚膜、先端の葉身細胞は短く、基部では褐色大形の矩形となる。 朔柄は褐色で長さ3.0〜3.5cm、表面は平滑。朔は強く傾き、非相称。朔歯は二重で、各々16枚。外朔歯は披針形で上部は微細な乳頭に覆われる。内朔歯は1/2ほどの高さの基礎膜があり、間毛が2本出る。内朔歯の歯突起は深く割れて上部では穴が空いた状態となる。内朔歯の表面は微細な乳頭に被われる。胞子は球形で大きく、径20〜35μm。朔の基部には気孔がある。口環はない。なお、蓋をつけた朔はすでになかった。 |
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