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[標本番号:No.0960 採集日:2010/06/06 採集地:栃木県、日光市] [和名:シノブヒバゴケ 学名:Hylocomiastrum himalayanum] | |||||||||||||
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鶏頂山で登山道を登る途中、大沼の近くで大型の蘚類が岩と腐植土を一面に広くおおっていた(alt 1460m)。遠目にはコウヤノマンネングサ(標本No.123)がタチハイゴケ(標本No.300)のような枝振りで群生しているかのような印象を受けた。 茎は斜上し、細長い枝を不規則羽状にだす。乾湿で姿をほとんど変えないが、乾くと枝葉はわずかに枝にゆるく接する。茎は葉を含めて幅1.2〜1.5mm、葉を取り去ると径0.5〜0.7mm。枝は葉を含めて幅0.6〜1.0mm。茎や枝の表面は無数の毛葉に被われる。 茎葉は丸みを帯びた三角形で、長さ1.3〜1.5mm、基部は赤褐色でやや下延し、先端は鋭頭、葉面には縦に深い皺が何本もある。葉縁の全周には微細な歯があり、葉先近くではやや大きい。中肋は1本で、葉の中程で終わるが、深い縦皺と紛らわしい。 |
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枝葉は長さ0.5〜0.8mm、広卵形〜卵形で、鋭頭。葉縁の全周にわたって鋭い歯があり、葉面には深い縦皺がいくつもある。中肋は1本で、葉長の3/4あたりまで達する。細い枝の先につく葉は、長卵形〜披針形で、長さ0.3〜0.5mm、深い縦皺は比較的少ない。 葉身細胞は茎葉も枝葉もほぼ同じ線形で、長さ25〜50μm、幅3〜6μm、薄膜で平滑。赤褐色を帯びた葉基部の葉身細胞は楕円形で、長さ20〜40μm、幅10〜15μm、やや厚膜で平滑。葉先の細胞は長さ20〜25μmの長い菱形でやや幅広。 茎の横断面には明瞭な中心束があるが、枝の横断面には中心束はない。両横断面ともに表皮細胞は小形で厚膜の赤褐色の細胞からなる。枝葉の背面では中肋の先端に明瞭な突起があるが、茎葉の背面では突起の不明瞭な葉も多い。
イワダレゴケ科 Hylocomiaceae ヒヨクゴケ属 Hylocomiastrum の蘚類に間違い内。平凡社図鑑の検索表からは、シノブヒバゴケ H. himalayanum となる。図鑑の記述にははなはだチグハグな記述がある。検索表には「A. 枝葉の先は短く尖る。中肋は1本」あるいは「A. 枝葉の先は長く尖る。中肋は2本」とある。ここで「中肋は1本」の選択枝にはミヤマリュウビゴケとシノブヒバゴケがあり、その形質状態の違いが記される。ところが、シノブヒバゴケの種の解説を読むと、「中肋は2本で葉の中部に終わる」と記されている。 |
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