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[標本番号:No.0972 採集日:2010/06/12 採集地:長野県、山ノ内町] [和名:フジハイゴケ 学名:Hypnum fujiyamae] | |||||||||||||||||||
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6月12日に長野県の志賀高原採集した大形の蘚類を観察した。写真(a)では中央に別の種が、左右に今日観察した種が写っている。やや湿度の高い岩壁から幾つもの種と混生して垂れ下がっていた。岩を匍う茎もあり、長いものでは茎の長さは15〜20cmに及ぶ。不規則羽状に10〜15mmの短い枝をだす。茎や枝の横断面で中心束があり、表皮細胞は厚膜で小さい(v, z)。 茎葉は卵形の基部から披針形に漸尖し、長さ2.0〜2.5mm、縦皺があり、上半部は鎌形に曲がる。茎葉上部には微歯があり、中肋は二叉して短いか殆ど不明瞭。翼部の細胞は褐色で大きくて薄膜。葉身細胞は線形で、長さ50〜80μm、幅4〜6μm、やや厚膜で平滑。枝葉は長卵形〜楕円形の基部をもち披針形に漸尖し、長さ1.8〜2.5mm、葉先は軽く鎌状に曲がる。葉身細胞や翼部、葉の先端部の様子は茎葉とほぼ同じ。 |
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内雌苞葉は、長さ2.0〜3.5mm、矩形の基部から急に細くなって芒となって延び、縦の皺などはない。芒の部分には顕著な歯がある。雌苞葉の葉身細胞は線形で、長さ80〜120μm、厚膜で平滑。雌苞葉の基部の細胞は線形〜長い矩形で、幅も広く、厚膜で平滑。 朔柄は長さ1.5〜2.5mm、褐色〜赤褐色で、平滑。朔は円筒形でやや傾き、非相称。朔の蓋には長い嘴がある。朔歯は二重で各々16枚。外朔歯は披針形。胞子は球形で径18〜25μm。 帽をつけた朔はなかった。朔歯はいずれもかなり崩れはじめていて、外朔歯と内朔歯を分離観察することはできなかった。また、毛葉や無性芽はない。保育社図鑑のハイゴケ属 Hypnum の検索表フジハイゴケ H. fujiyamae に落ちる。種の解説を読むと、かなりの部分で観察結果と符合する。また、Noguchi(Part5 1994)にあたると、観察結果とほぼ符合する。しかし、平凡社図鑑の写真(PL.119)とはかなり印象が違う。 |
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