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[標本番号:No.1015   採集日:2010/10/11   採集地:高知県、本川村]
[和名:ケヘチマゴケ   学名:Pohlia flexuosa]
 
2010年12月8日(水)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
(r)
(a, b) 植物体、(c) 標本:乾燥時、(d) 標本:湿時、(e) 乾燥時、(f) 湿時、(g, h) 葉、(i) 葉の上半、(j) 葉身細胞、(k) 葉の基部、(l) 葉の先端、(m, n, o) 葉の横断面、(p) 茎の横断面、(q, r) 無性芽

 10月11日に高知県の自然公園で採取したコケ標本の最後のひとつをようやく観察することができた(alt 600m)。遊歩道脇の岩についていたヘチマゴケ属 Pohlia の蘚類だ。
 茎は高さ1.5〜2.5cm、葉は乾燥すると縦しわが少し入るが縮れることはなく、茎の下部は仮根に被われる。葉は下部で反曲するものが多く、さらに中肋を軸として、多くは左右不均等に曲がる。葉は披針形で、長さ2〜2.5mm、葉縁に舷はなく、上部の縁には微細な歯がある。中肋は強くほとんど葉頂に届くか直下で終わる。
 葉身細胞は細長い六角形〜線形で、長さ80〜120μm、幅8〜12μm、薄壁で平滑。中肋の横断面でわ中心部にわずかにステライド様の細胞も見られる。葉の基部は特に区画は作らず、わずかに赤みがある。茎の先端付近の葉腋には、タオルを絞ったような形の細い無性芽を多数つけたものが多い。

 ケヘチマゴケ Pohlia flexuosa だろうと思う。朔をつけた個体はなかった。