HOME | 観察覚書:INDEX | back |
[標本番号:No.1021 採集日:2010/10/12 採集地:愛媛県、久万高原町] [和名:ヒメコクサゴケ 学名:Isothecium subdiversiforme] | |||||||||||||||||||
|
|||||||||||||||||||
愛媛県の名勝地、面河渓(上浮穴郡久万高原町)で十数種類のこけを採取した。そのうちの一つ、標高700m付近で遊歩道脇の樹幹基部から根の表面に着生していた蘚類を観察した。やや光沢があり、一次茎葉根の表面や樹幹基部を匍い、二次茎は長さ3〜4cm、立ち上がって不規則樹状に分枝する。枝先は細く、乾燥しても葉は展開したままだった。 枝は葉を含めて幅1.5〜2.2mm、一部に鞭状に伸びた枝もある。茎葉は卵形〜卵状三角形で深く凹み、長さ2mm前後、先端は尖る。 枝の中程の葉は卵形〜卵状楕円形で、長さ1.2〜1.8mmで凹み、先端は鋭く尖り、葉先付近の縁には明瞭な歯がある。茎葉も枝葉も葉身細胞の様子はほぼ同様で、上部から中央部では長い菱形〜長い矩形で、長さ20〜30μm、葉の下部では長い楕円形で長さ30〜40μm、幅5〜6μm、平滑。翼部の細胞はやや大きな矩形で、濃い緑色で葉面の細胞と明瞭な区画を作る。葉の横断面で中肋にはステライドなどはない。茎の横断面には中心束があり、表皮は厚膜で小さな細胞からなる。 朔をつけた個体はなかった。トラノオゴケ科 Lembophyllaceae の蘚類だろう。平凡社図鑑の検索表をたどると、ヒメコクサゴケ属 Isothecium のヒメコクサゴケ I. subdiversiforme に落ちる。図鑑で種の説明を読むと、観察結果とほぼ符合する。 |
|||||||||||||||||||