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[標本番号:No.1055   採集日:2010/10/14   採集地:高知県、香美市]
[和名:ヤマトクラマゴケモドキ   学名:Porella japonica]
 
2011年1月13日(木)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(p)
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(q)
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(r)
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(a, b) 植物体、(c) 標本、(d) 生きていた茎、(e) 乾燥時、(f) 背面、(g) 腹面、(h) 背片、(i) 腹片、(j, k) 背片・腹片・腹葉、(l, m) 葉身細胞、(n) 油体、(o) 腹片、(p) 腹葉、(q) 茎の横断面、(r) 背片の横断面

 昨年10月に高知県香美市の別府峡で採取したクラマゴケモドキ属 Porella の苔類を観察した。昨日観察した苔類(標本No.1047)と同じようなチャック付きポリ袋に入れて保管しておいたのだが、この苔類では一部にまだ緑色の葉が残り、油体も観察できた。しかし大半は、なかば乾燥し黄褐色に変色して油体もほとんど失われていた。
 渓谷の遊歩道脇の石灰岩に大きなマットを作っていた(alt 600m)。茎は長さ5〜8cm、不規則に羽状に分枝し、葉を倒瓦状に斜めにつける。乾燥すると葉が腹面側に巻き込む。背片は卵形で長さ1.2〜1.5mm、円頭で先端に1〜8歯がある。キールはほとんどないか非常に短い。腹片は長舌形で、長さ0.4〜0.6mm、茎にほぼ並行に着き、基部が少し広くなり、腹縁基部はやや下延し、多くは腹縁基部と先端に小さな歯がある。腹葉は舌形〜台形で茎幅よりわずかに幅広で、長さ0.5〜0.7mm、基部は茎に下延し、先端は切頭で歯があり、縁には0〜8個の歯がある。葉身細胞は類円形〜丸みを帯びた多角形で、長さ15〜25μm、やや厚壁で平滑。葉先や葉縁の葉身細胞は中央部よりやや小さい。油体は均質の楕円体で、各細胞に十数個から数十個ある。茎の横断面で表皮細胞は髄部と比較して小さく厚壁になっている。

 先入観を捨てて、平凡社図鑑でクラマゴケモドキ属の検索表をたどってみた。葉にキールがほとんどなく、腹片の腹縁基部は長く下延し、背片の先端は内曲せず、背片の形は楕円状三角形ではないから、ヤマトクラマゴケモドキ P. japonica ないしタカキクラマゴケモドキ P. oblongifolia のいずれかに落ちる。後者は、背片の長さが幅の約2倍以上で、腹片は腹縁基部で幅が広くなることはないという。となると、ヤマトクラマゴケモドキとしてよさそうだ。手元の標本(No.834No.374)とも比較してみた。これらと同じ種としてよさそうだ。