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[標本番号:No.1055 採集日:2010/10/14 採集地:高知県、香美市] [和名:ヤマトクラマゴケモドキ 学名:Porella japonica] | |||||||||||||||||||
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昨年10月に高知県香美市の別府峡で採取したクラマゴケモドキ属 Porella の苔類を観察した。昨日観察した苔類(標本No.1047)と同じようなチャック付きポリ袋に入れて保管しておいたのだが、この苔類では一部にまだ緑色の葉が残り、油体も観察できた。しかし大半は、なかば乾燥し黄褐色に変色して油体もほとんど失われていた。 渓谷の遊歩道脇の石灰岩に大きなマットを作っていた(alt 600m)。茎は長さ5〜8cm、不規則に羽状に分枝し、葉を倒瓦状に斜めにつける。乾燥すると葉が腹面側に巻き込む。背片は卵形で長さ1.2〜1.5mm、円頭で先端に1〜8歯がある。キールはほとんどないか非常に短い。腹片は長舌形で、長さ0.4〜0.6mm、茎にほぼ並行に着き、基部が少し広くなり、腹縁基部はやや下延し、多くは腹縁基部と先端に小さな歯がある。腹葉は舌形〜台形で茎幅よりわずかに幅広で、長さ0.5〜0.7mm、基部は茎に下延し、先端は切頭で歯があり、縁には0〜8個の歯がある。葉身細胞は類円形〜丸みを帯びた多角形で、長さ15〜25μm、やや厚壁で平滑。葉先や葉縁の葉身細胞は中央部よりやや小さい。油体は均質の楕円体で、各細胞に十数個から数十個ある。茎の横断面で表皮細胞は髄部と比較して小さく厚壁になっている。 先入観を捨てて、平凡社図鑑でクラマゴケモドキ属の検索表をたどってみた。葉にキールがほとんどなく、腹片の腹縁基部は長く下延し、背片の先端は内曲せず、背片の形は楕円状三角形ではないから、ヤマトクラマゴケモドキ P. japonica ないしタカキクラマゴケモドキ P. oblongifolia のいずれかに落ちる。後者は、背片の長さが幅の約2倍以上で、腹片は腹縁基部で幅が広くなることはないという。となると、ヤマトクラマゴケモドキとしてよさそうだ。手元の標本(No.834、No.374)とも比較してみた。これらと同じ種としてよさそうだ。 |
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