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[標本番号:No.1039 採集日:2010/10/13 採集地:高知県、津野町] [和名:アサイトゴケ 学名:Pseudoleskeopsis zippelii] | |||||||||||||||||||
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四国の四万十川源流点近くで採取した蘚類を観察した。水に濡れる岩の表面にやや硬い感じのマットを作っていた(alt 1000m)。一次茎は這い、随所から二次茎をだし、二次茎から不規則羽状ないし樹状に長さ0.5〜1.5cmの枝を出す。乾燥すると葉が枝にやや密着して先端が内側に曲がり、湿るとやや展開する。 葉は長さ1〜1.5mm、広卵形で深く凹み、葉先は三角形となりやや鈍頭〜鋭頭。葉状半部の縁には微細な歯がある。中肋は強く、葉頂近くに達するが、先端から突出することはない。葉身細胞は、丸みのある六角形〜多角形で、長さ6〜12μm、やや厚壁。翼部は明瞭には分化せず、葉基部の中肋周辺の細胞は矩形で他よりやや大きい。葉身細胞の表面はほぼ平滑。葉の横断面で、中肋にはステライドやガイドセルはない。茎の横断面で中心束はなく、表皮には厚壁で小さな細胞が並ぶ。茎や枝の表面に偽毛葉や毛葉は見られない。 ウスグロゴケ科 Leskeaceae アサイトゴケ属 Pseudoleskeopsis のアサイトゴケ P. zippelii だと思う。平凡社図鑑の種の解説を読むと、観察結果と概ね符合する。ただ、葉身細胞表面はどうみても「目立たない突起」は見られなかった。同図鑑には、よく朔をつけるとあるが、朔をつけた個体はなかった。 |
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