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[標本番号:No.1039 採集日:2010/10/14 採集地:高知県、香美市] [和名:キヌヒバゴケ 学名:Dicradiella tricophora] | |||||||||||||||||||
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高知県の名勝である別府峡には石灰岩の渓谷が広がる。渓谷の側壁から長く垂れ下がった蘚類を観察した(alt 630m)。茎は糸状〜紐状で葉を丸く付け、葉を含めた幅は0.5〜0.8mm、随所から二次茎を伸ばす。二次茎および枝は、扁平に葉をつけ、葉を含めた幅は3〜4mm、先端部は細くなって紐状となる。乾燥しても葉はほとんど縮れず、湿時の姿はほとんど変わらない。 二次茎や枝の基部の葉は、披針形で細長く、毛状でよじれて尖り、長さ3〜3.5mm、葉縁の上部は波打つ。一次茎の葉は茎に密着するように丸くつくが、葉の形は二次茎基部や枝基部の葉とあまり変わらない。葉の縁には上部から基部まで微細な歯があり、中肋はない。 葉身細胞は、細長い六角形ないし紡錘形〜線形で、長さ70〜120μm、幅8〜10μm、薄壁。葉身細胞は背腹ともにほぼ平滑だが、背面の中央付近に小さな乳頭をもつ細胞が随所にある。翼部には方形の細胞が並ぶ。茎や枝の横断面には弱い中心束があり、表皮細胞は小形で厚壁。
ハイヒモゴケ科 Meteoriaceae の蘚類だろう。平凡社図鑑の検索表をたどると、葉身細胞が平滑なものとしてサナダゴケモドキ属 Aerobryum があり日本産1種とある。ところが、サナダゴケモドキ A. speciosum には中肋があり、葉の形も異なる。 |
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