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[標本番号:No.1145   採集日:2017/01/02   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ホソウリゴケ   学名:Brachymenium exile]
 
2017年1月26日(木)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
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(d)
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(e)
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(f)
(f)
(g)
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(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
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(k)
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(l)
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(m)
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(n)
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(o)
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(a, c, e) 植物体:湿、(b, d, f) 植物体:乾、(g) 標本:乾、(h) 標本:湿、(i) 葉、(j) 葉:先端、(k) 葉:中央部、(l) 葉:基部、(l) 葉:基部、(m) 葉の断面、(n) 若い葉の断面、(o) 茎の断面

 何とかひどい風邪が快方に向かい始めたので、今月初めに自宅の庭の隅、岩の隙間の小砂利に出ていた蘚類を観察することができた。
 一目見てホソウリゴケだろうと見当はついたが、長いことコケ観察から離れていたために、ホソウリゴケの特徴などはすっかり忘れている。そこで、あらためて、乾湿状態での葉の変化を確認し、葉を何枚か取り出して顕微鏡下で確認した。
 茎は長さ4〜10mm、乾燥すると葉が茎に密着し、湿ると軽く開く。葉は卵形で腹側に凹み、長さ0.6〜1.2mm、葉の縁は全縁で舷は見られず、太い一本の中肋が葉先から突出する。中肋の突出した部分には歯あるいは牙のようなものが見られる。葉身細胞はひし形〜六角形で幅は10〜15μm、細胞の膜は薄く、表面は平滑。葉縁の細胞や、基部の細胞は矩形で葉身中央部の細胞よりはやや大きい。中肋の断面の細胞は細身で壁がやや厚い。茎断面から見た茎の細胞は五〜六角形で薄膜。
 観察結果からは予測通りホソウリゴケ Brachymenium exile としてよさそうだ。