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[標本番号:No.1148   採集日:2017/01/12   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ギンゴケ   学名:Bryum argenteum]
 
2017年2月3日(金)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(a, b) 植物体、(c) 多数の無性芽、(d) サンプル、(e) 無性芽、(f) 葉、(g) 透明尖、(h) 葉の上部、(i) 葉の中央部、(j) 葉の基部、(k) 茎の断面、(l) 仮根

 今月1月12日に自宅の庭の石垣に小さな白色の塊となっていたギンゴケを採取したが、体調を崩してこれまでずっと机上に放置したままになっていた。
 今更ギンゴケでもないかもしれないが、基本的なことをすっかり忘れてしまっているので、身近なありふれたコケは観察のよい材料となる。このギンゴケは小さく、葉の先端の透明尖の部分がとても長い。ギンゴケが多数の無性芽を持っていることもすっかり忘れていた。

 葉は茎に密生して、乾燥していても湿っていても葉の様子は変わらない。茎の先端付近の葉の基部には多数の無性芽が見られる。葉は卵型から広卵型で大きく凹み、葉縁は全縁で舷はなく、葉先は透明な尖となっている。中肋は一本で弱く、葉先近くで消える。
 葉身細胞は葉先から中央部までは狭い六角形で膜はやや厚く、葉の基部では矩形。葉の中央部から先では葉緑体など内容物を欠き透明となっている。茎に中心束はない。仮根の細胞隔壁は、蘚類の常として、壁に対して斜めになっている。