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[標本番号:No.1156   採集日:2017/01/13   採集地:栃木県、日光市]
[和名:ハイゴケ   学名:Hypnum plumaeforme]
 
2017年2月20日(月)
 
(a)
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(b)
(b)
(c)
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(d)
(d)
(e)
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(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
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(l)
(l)
(a, b) 植物体、(c) 標本、(d) 乾燥状態、(e) 湿った状態、(f) 枝葉、(g, h) 顕微鏡下の枝葉、(i) 枝葉の基部、(j) 枝葉の先端、(k) 葉身細胞、(l) 翼部

 寒い時期にに日光だいや川公園でもっとも多く見られるのがハイゴケで、殺風景な公園内で冬場でも唯一緑色の絨毯を広げている。先月13日に持ち帰った最後のコケ標本になる。
 型通りの観察結果を簡略に一通り記しておこう。茎は這い、不規則に羽状に枝分かれし、長さ2〜8cm、乾燥していても湿っていても、その姿はほとんど変わらない。葉は扁平につき、卵型で中部から先は細くなり鎌状に曲がる。葉の先端部には小さな歯があるが、中間部から基部までの縁はほぼ全縁。枝葉は長さ1.0〜1.4mm、茎葉は長さ1.2〜1.8mm、短く弱々しい中肋が2叉しているが、中には中肋の見られない葉もある。葉身細胞は線形で幅3〜4μm、長さ50〜80μm、細胞膜は薄く、細胞の先端部に小さな乳頭突起を持ったものもある。茎葉も枝葉も、翼部がやや発達して、翼部の細胞は矩形で大きく透明で、褐色を帯びるものもある。一部に未成熟の胞子体をつけたものも見られたが、朔はみられなかった。
 実体鏡での撮影がどうにも気に入らないので、工夫が必要なのだがまだ手を付けていない。それもあって、葉や茎の断面切り出しなどは全く試みなかった。もっとも、わざわざ葉や茎の断面を切り出したところでほとんど意味はない。単に薄片切りだしの練習に過ぎないが。