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[標本番号:No.1168 採集日:2017/03/28 採集地:栃木県、宇都宮市] [和名:ヒノキゴケ 学名:Pyrrhobryum dozyanum] | |||||||||||||||||||
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3月に宇都宮市の戸祭山緑地で採取したコケ三点のうち最後の一つ、ヒノキゴケを顕微鏡で観察してみた。杉林の中のやや湿り気のある腐植土の斜面に出ていた。 茎は直立し、地上部での枝分かれはほとんどなく、長さ(高さ)4〜7cm、中央部から下の茎には仮根が密生し、乾燥すると葉の腹面側に緩く巻き込む。茎の中央部の葉が最も大きく長く、茎の先と基部の葉はやや短い。ちょうど小動物の尻尾の様で面白い。 葉は披針形で細長く、長さ8〜10mm、幅0.2〜0.3mm、縁には双生の鋭い牙状の歯があり、中肋背面にも鋭い牙状の歯がある。葉の縁は二細胞層の厚みがあり、葉の下部の縁は全縁。中肋は太く葉先にまで達する。葉身細胞は丸みを帯びた矩形〜六角形で、長さ6〜20μm、幅6〜10μm、膜は平滑でやや厚い。茎の断面で表皮細胞は厚膜で小さい。 このコケは非常に分かりやすく、フィールドで簡単に見分けることができる。葉の断面の姿も何とも楽しい姿をしている。葉が大きいので断面切り出しは比較的楽だが、全体にピントのあった切片の切り出しは難しい。今回も一つとしてそういった切片は切り出せなかった。 |
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