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[標本番号:No.1168   採集日:2017/03/28   採集地:栃木県、宇都宮市]
[和名:ヒノキゴケ   学名:Pyrrhobryum dozyanum]
 
2017年4月8日(土)
 
(a)
(a)
(b)
(b)
(c)
(c)
(d)
(d)
(e)
(e)
(f)
(f)
(g)
(g)
(h)
(h)
(i)
(i)
(j)
(j)
(k)
(k)
(l)
(l)
(m)
(m)
(n)
(n)
(o)
(o)
(p)
(p)
(q)
(q)
(r)
(r)
(a) 植物体、(b) 標本:乾燥時、(c) 標本:湿時、(d) 葉の拡大、(e) 葉、(f) 葉先端背面の牙、(g) 葉先端背面の輪郭、(h) 葉中央部背面の牙、(i) 葉中央部腹面、(j) 葉中央部の細胞、(k) 葉基部の細胞、(l) 葉先端:KOH封入、(m〜p) 葉各部の断面、(q) 葉中肋の断面、(r) 茎の断面

 3月に宇都宮市の戸祭山緑地で採取したコケ三点のうち最後の一つ、ヒノキゴケを顕微鏡で観察してみた。杉林の中のやや湿り気のある腐植土の斜面に出ていた。
 茎は直立し、地上部での枝分かれはほとんどなく、長さ(高さ)4〜7cm、中央部から下の茎には仮根が密生し、乾燥すると葉の腹面側に緩く巻き込む。茎の中央部の葉が最も大きく長く、茎の先と基部の葉はやや短い。ちょうど小動物の尻尾の様で面白い。
 葉は披針形で細長く、長さ8〜10mm、幅0.2〜0.3mm、縁には双生の鋭い牙状の歯があり、中肋背面にも鋭い牙状の歯がある。葉の縁は二細胞層の厚みがあり、葉の下部の縁は全縁。中肋は太く葉先にまで達する。葉身細胞は丸みを帯びた矩形〜六角形で、長さ6〜20μm、幅6〜10μm、膜は平滑でやや厚い。茎の断面で表皮細胞は厚膜で小さい。

 このコケは非常に分かりやすく、フィールドで簡単に見分けることができる。葉の断面の姿も何とも楽しい姿をしている。葉が大きいので断面切り出しは比較的楽だが、全体にピントのあった切片の切り出しは難しい。今回も一つとしてそういった切片は切り出せなかった。