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[標本番号:No.1180 採集日:2017/04/16 採集地:栃木県、宇都宮市] [和名:ツクシナギゴケ 学名:Eurhynchium savatieri] | |||||||||||||
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宇都宮市の多気神社境内にトガリアミガサタケを観察に出かけたときに、石垣についていたアオギヌゴケ科のコケを持ち帰ってきていた。というのもこの科のコケは分類が難しいものが多く、属レベルまで落とせればよいが、それができるかどうかの試金石のつもりだった。
石垣に這うように垂れ下がり、不規則にわずかに羽状に分枝する。茎葉と枝葉とは大きさがわずかに違うだけで、形はほぼ同じで、卵状披針形で、全周にわたって微細な歯があり、乾燥していても葉は茎に密着することなく展開し、葉身細胞は平滑で、葉の基部は下延しない。 保育社図鑑と平凡社図鑑でアオギヌゴケ科の検索をたどるとEurhynchiumに落ちる。なおこの属の和名は保育社図鑑と野口概説ではキブリナギゴケ属となっているが、平凡社図鑑ではツルハシゴケ属となりキブリナギゴケ属の学名にはKindbergiaがあてられている。 現地でこのコケをルーペで見たとき、葉に中肋が一本あり、葉身細胞がなんとなく線形でパピラなどはなさそうに見えたのでアオギヌゴケ科だろうと見当をつけた。分類の難しい仲間と承知の上で持ち帰ったとはいえ、なんとなく億劫で一ヶ月半以上放置してしまった。そのために標本はすでにほとんど茶褐色となり緑色の部分はごくごくわずかしか残っていなかった(c, d)。葉を顕微鏡の低倍率でみると、まるで葉身細胞の両端ないし上端に小さなパピラがあるかのようにみえたが(g)、倍率を上げてみていくと平滑であることを確認できた。 |
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