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[標本番号:No.1201   採集日:2017/04/27   採集地:栃木県、日光市]
[和名:カモジゴケ   学名:Dicranum scoparium]
 
2017年9月15日(金)
 
(a)
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(b)
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(c)
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(d)
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(e)
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(f)
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(g)
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(h)
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(i)
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(n)
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(p)
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(q)
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(r)
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(a) 発生環境、(b) 植物体、(c) 採取標本、(d) 標本の一部、(e) 茎の表面、(f) 葉、(g) 葉の上半部、(h) 葉の下半部、(i) 葉上部裏面の中肋、(j) 葉先端の細胞、(k) 葉中央部の細胞、(l) 葉翼部の細胞、(m) 葉の断面:上部、(n) 葉の断面:中央上部、(o) 葉の断面:中央部、(p) 葉の断面:下部、(q) 葉の断面:翼部、(r) 茎の断面

 今年4月27日に奥日光千手ケ原で採取したコケも残り2点となった。今朝はそのうちの一点、落ち葉の降り積もる中にポッコリと厚い層をなしていたコケを観察した。林間の比較的陽射しのよく届く腐葉土に丸山形に群生していた。

 茎は長さ3〜8cm、上部の葉だけが緑色で、下半部の葉は褐色となり、茎の表面は褐色の仮根に密に覆われる。葉は密につき、乾燥すると鎌形に曲り、長卵状披針形の基部から、樋状に凹んで長く伸び、長さ5〜9mm、上半部の縁には鋭い歯がある。中肋は葉頂に達し、下部では葉幅の、1/6〜1/5以下で、上半部の背面に2〜3列の低い薄板があり、薄板には鋭い牙がある。
 葉身細胞は、葉先付近では菱形〜紡錘形で、長さ30〜60μm、幅12〜18μm、平滑で壁は厚い。葉の中央部の葉身細胞は長い菱形〜丸みを帯びた長方形で、長さ70〜130μm、幅15〜20μm、平滑で、壁は厚く随所にクビレがある。葉の翼部の細胞は褐色を帯び、大きな方形で、長さ30〜60μm、幅20〜40μm、壁はやや薄く、2細胞の厚みがある。茎の断面で、表皮細胞は小さく、弱い中心束がある。
 

 
 
(s)
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(t)
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(u)
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(v)
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(w)
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(x)
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(y)
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(z)
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(aa)
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(ab)
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(ac)
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(ad)
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(s) 筒状の苞葉、(t) 胞子体、(u) 朔、(v) 朔歯:ルーペ、(w) 朔歯:顕微鏡低倍率、(x) 朔歯の基部、(y) 朔歯の先端、(z) 朔の基部と気孔、(aa) 気孔、(ab) 朔の表皮細胞、(ac) 朔壁の断面、(ad) 胞子体の柄の断面

 苞葉は筒状で先端が尖り、長さ3〜6mm、朔柄をすっぽりと包んでいる。朔柄は赤褐色で、長さ20〜30mm、表面は平滑。朔は楕円状から筒状で、長さ3〜4mm、太さ0.8〜1mm、軽く湾曲し、乾燥すると縦皺がみられ、非相称で、口環はない。朔の表皮細胞は長方形で壁は厚く、基部には多くの気孔がある。

 保育社の図鑑でも平凡社の図鑑でも、検索を辿るとカモジゴケ Dicranum scoparium に落ちる。種の解説を読むと、観察結果とほぼ符合する。採取から既に5ヶ月ほど経過しすっかり乾燥しているが、水に戻さなくても葉は緑色を保ち、朔歯も崩れずよく残っていた。採取したら直ちに観察を終えないとたちまち崩れたり腐敗するきのこと違って、蘚類に関しては、採取後に観察する時間が取れなくても後日じっくり観察できるありがたさをしみじみと感じている。