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[標本番号:No.1218 採集日:2018/02/22 採集地:栃木県、鹿沼市] [和名:イワイトゴケ 学名:Haplohymenium triste] | |||||||||||||||||||
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先月23日に鹿沼市の南端にセツブンソウを見に行ったが、そのおりに(雑記2018.2.24)、神社の灌木にHaplohymenium(イワイトゴケ属)らしき蘚類が朔をつけていた。この仲間の胞子体はこれまで一度も観察したことがなかったので持ち帰ってきた。この蘚類標本を観察した。
茎は灌木の枝をはい、糸が絡み合ったような状態で不規則に分枝し、乾燥するとツヤがなくなり葉が枝に密着し、湿ると明るい色になり葉は反り返って展開する。茎や枝には毛葉はない。枝は葉を含めて、乾燥時0.3〜0.4mm、湿時0.5〜0.8mm。枝葉は卵形の基部からやや急に細長い舌形に伸び、長さ0.6〜1.2mm、先端は円頭、舌形の部分は非常に折れやすい。中肋は明色から透明で多くは葉長の1/2ほどで終わる。葉身細胞は方形〜六角形で径10〜15μm、表面に3〜5個の乳頭があって暗い。枝の断面で中心束はない。朔柄は赤色で長さ3〜5mm、朔は卵形で直立し相称(h, i, q)。雌苞葉は先端が急に細長くなって伸びる(q)。
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外朔歯は16枚、基部近くから二裂し、上部にはよく目立つ乳頭が多数ある(s〜u)。内朔歯は不明瞭だが、金平糖の突起部分を長くしたような組織が多数連なった状態の膜が見られる(v)。口環がよく発達している(u, w)。胞子は球形で表面に微細なイボがあり、径25〜30μm。 雄株の枝には雄器らしきものが雄苞葉に包まれ膨潤したものが多数みられる(y)。これをバラバラにしてみると、先端が急に尖った雄苞葉と楕円形の造精器、そして側糸がでてきた(z, aa, ab)。造精器の表皮細胞は大きめの多角形で、表面は平滑で、葉緑体らしきものが多数入っている(ac)。朔の表皮には気孔はない(ad)。
イワイトゴケ Haplohymenium triste で間違いなさそうだ。今回残念なのは、朔の帽をつけたものがひとつも得られなかったこと、極めて崩れやすい葉のため整った形での枝葉の撮影ができなかったこと、枝葉の断面をうまく切り出せなかったこと、朔歯をバラそうとしてうまくできなかったこと、などがある。 |
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