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今年1月7日に栃木県の出流山満願寺奥の院近くの石灰岩壁で、苔類と思われる植物体を採集した。てっきり苔類だろうと思って念入りに調べてみた。結局自力では分からなかった。もし苔類であるとすればスジゴケ属の仲間、苔類でなければ気生緑藻類ではないかと考えていた。
昨日(2007.1.17)、千葉県立中央博物館に出向いて、蘚苔類の専門家である古木博士にみていただいた。その結果、この緑色の植物体は、蘚苔類や緑藻類ではなく、羊歯植物の葉状体であると判明した。コケシノブの葉状体の可能性が高いということであった。 |
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これは、はたしてコケなのだろうか? 今年の1月7日に、苔類だろうと思って持ち帰ったものだ。栃木県出流山満願寺の先で、林道の石灰岩壁についていた(a, b)。暗くジメジメした場所で、他の蘚類や苔類と混生していた。 長さ4〜8mm、幅0.5〜1mmほどで小さく平べったい。ルーペで拡大してみると、ウチワサボテンのような分枝の仕方をしている(c)。中肋部のようなものはなく、全体が一層の細胞からなり、ひとつ一つの細胞はとても大きく、0.08〜0.1mmほどもある(d, j)。 水を張ったシャーレに入れて実体鏡の下でみた(e〜g)。不規則に枝分かれしているが、葉状体の側面には仮根のようなものがある(g)。葉身細胞は薄膜でトリゴンはなく、油体らしきものも見られない(h)。茶色っぽく見える葉状体では、細胞膜が褐色を帯びている(i)。まるで菌類のように非常に脆く、葉状体の横断面切り出しは断念した。生殖器などはついていなかった。 全体的な特徴から、苔類だとすればスジゴケ科のスジゴケ属 Riccardia しか考えられない。図鑑でスジゴケ属をみると「主軸の葉状体は太く厚く」とあり、検索表には葉状体の「表皮細胞」とか「内部細胞」といった表現がでてくる。しかし、この葉状体は全体が一層の細胞からなるので、こういった表現には馴染まない。 平凡社の図鑑によれば、スジゴケ属には「日本産21種」とあり、そのうち9種が掲載されている。そこに掲載された9種には、少なくともこの標本と一致するものはない。他の12種のなかに該当種があるのだろうか。あるいは、これはスミレモ等のような気生緑藻類の仲間なのだろうか。
[修正と補足:2007.1.17] |
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