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「クラマゴケモドキ」はコケ(苔類クラマゴケモドキ科)、「クラマゴケ」はシダ(シダ類イワヒバ科)の標準和名である。こういう命名に到ったには理由があろうが、とにかく、シダが「××コケ」で、コケが「××コケモドキ」というおかしな名前がついている。 最近、クラマゴケモドキとクラマゴケの両者に出会ったので、ここでこの二つを並べて楽しんでみることにした。クラマゴケモドキ Porella perrottetiana は、3月4日に群馬県神流町で出会ったもの、クラマゴケ Selaginella remotifolia は3月6日に埼玉県さいたま市で出会ったものだ。 |
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上段(a〜f)に苔類のクラマゴケモドキ、下段(a'〜f')にシダ類のクラマゴケを、画像が対応するように配置して並べた。外見上は確かによく似ている(a : a', b : b')。まるでコケのように見えるシダ、それがクラマゴケだ。ちょっと見て直ちに「コケでない」と判断するには経験が必要そうだ。 クラマゴケには、背中側に細い2列の背葉、腹側に幅広で2列の腹葉、都合4列の葉が左右に扁平に並んでいる(b)。一枚一枚の葉はそれぞれ独立している(c')。一方、クラマゴケモドキでは、一枚の葉が、大きな背片と小さな腹片に分かれ、狭い折り目で繋がっている(c)。 葉身細胞は、コケであるクラマゴケモドキは1層からなり単純だが(d)、シダのクラマゴケは複数層からなり、表と裏とはまるで違った顔を持っている(d')。さらにシダであるクラマゴケの葉の背面には気孔がみられる。コケであるクラマゴケモドキの葉には気孔はない。 葉の横断面をみると、一層の葉身細胞からなるクラマゴケモドキ(e)、分化した複数の組織からなるクラマゴケ(e')の違いが顕著にわかる。茎の断面をみても、あまり組織分化のないクラマゴケモドキ(f)に対して、クラマゴケではかなり明瞭な組織分化がみられる(f')。 まるでコケのように見える小形のシダは他にもいくつもあるらしい。これまで出会ったものにも、コウヤコケシノブ Hymenophyllum barbatum があった(たわごと2006.12.4)。 |
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