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大型連休中、栃木県や福島県を動き回って、いくつものコケ標本を採集した。この中には、「自分にとっての未知種」がかなり含まれている一方で、すでに何度か観察済みの種も含まれる。特に、凾未観察の種については、改めて採取したものがかなりある。 ちょうどこの時期、春のきのこ(盤菌類)の観察に追われて、コケを観察する時間がなかなか捻出できない。4月29日から5月5日までに採取したコケ標本は40点以上になるのだけれど、それらのうち、観察できたものはまだ数点に過ぎない。 きのこ観察は時間勝負だ。生標本のうちにやらねばならないことが多い。乾燥標本から得られる情報は極度に少ない。だから、欲張って標本をたくさん持ちかえると、徹夜で処理するハメになる。観察している間にも、みるみる腐敗・変形・変質していく。生標本の寿命は短く、多くは数十分から数時間しかない。だから、現実には採集する標本数を限定している。 しかし、コケでは全く事情が異なる。苔類の一部では、乾燥させる前に油体の観察が必要だ。でも時間がなければ、密閉容器に容れて冷蔵庫に放り込んでおけば、半月は大丈夫だ。多くのコケでは乾燥標本を水で戻せば、観察にはほぼ支障ない。後日観察すればよいから、現地で気になった種は、考えることなく採集しておけばよい。 手元の標本は、室内の通風のよい場所に放置しておけば、自然に乾燥標本ができあがる。未観察の標本は、おいおい暇を見ながら、気分の乗ったときに観察すればよい。標本が多数あるということは、しばらくは採集に行かなくても楽しめるということだ。 |
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