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年末から年始にかけて、昨年夏から秋にかけて採取したミズゴケ類7〜8標本を観察した。結果は、ウロコミズゴケとホソバミズゴケが複数、オオミズゴケとサンカクミズゴケが各々1つだった。そこで、12月30日から、1月8日にかけて、それぞれ1種ずつを「観察覚書」に記した。
名前を知るためだけなら、いくつかのポイントだけを観察すればすむけれど、それではつまらない。他の蘚類と同様に、発生環境、標高、姿形、茎と枝、茎葉と枝葉などを細かく観察すると、いろいろなものが見えてくる。それにしても、ミズゴケは種の同定をするだけでも観察ポイントが多い。フィールドで、ルーペひとつで分かる種は限られるようだ。 |
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枝には開出する枝と下垂する枝があり、一ヵ所から数本が束になって出る(a)。種によって、この2種類の枝の長さや幅が微妙に異なる。多くの種では開出枝だけを観察すればよいのだが、ハリミズゴケ節では下垂枝を観察しないと検索表をたどれない。
枝葉の透明細胞の様子を観察するにあたっては、孔や糸状の構造を、葉の腹面と背面で、それぞれ先端付近と中央付近で、別個に観察しなくてはならない(f)。孔の様子を詳細に観察するにはサフラニンで染色することが常識とされる。赤インクが代用に使える(b)。
以外と面倒なのが、葉の表裏、つまり背面と腹面を区別してプレパラートを作ることだ。これには、葉の湾曲を利用する。凹面なら腹側で、凸面は背側だ。最初の頃は、そぎ落とした葉のなかから、壊れていない葉をピンセットでつまみ、腹側を上にしてスライドグラス上に4〜5枚並べ、その上にカバーグラスをかけた。次に、凸面を観察していた。最近では、葉を表向きと裏向き、それぞれ2枚ずつスライドグラスに載せて、これを一度に観察している。 |
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枝葉の横断面の観察が必要なのは、他の蘚類と同様だ。構造的には透明細胞に葉緑細胞が挟まれているが、この葉緑細胞が葉の腹側や背側にどの程度開いているか、あるいは、完全なサンドイッチ状態で、いずれにも開いていないのか、などを観察することになる(g〜k)。
葉の横断面の切り出しには、実体鏡の下に枝を寝かせて、葉と枝を一緒に切り出している。何枚もの葉が一度に切り出せる。薄く切れた葉や枝はカミソリの刃面に付着する。これを、別に用意したスライドグラスに落としてプレパラートを作って観察している。 しかし、やはりミズゴケは大変だ。目的が種の同定のためであっても、多くの部分を観察しなくてはならない。おまけに、サフラニンなどを使うので、指先が真っ赤に染まってしまう。 |
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