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先月は連日ミズゴケばかりをみていた。つくづくと感じたのは道具の重要さだった。具体的には先端が極細の精密ピンセットにずいぶんと助けられた。ミズゴケに限らず、微細なホウオウゴケや苔類では、茎から葉を外したり、その葉をひっくり返したり並べたりするのに苦労する。
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今年の夏頃までは、極細ピンセットをもっていなかった。だから、当初はミズゴケの茎から葉を取り外すのにかなり難儀した。ところが先細ピンセットを使うと面白いように、楽に葉を外すことができる(a, b)。これは目からウロコだった。外した茎葉や枝葉を並べるにも、太いピンセットでは非常に苦労するが(c)、先細ピンセットならとても簡単だ(d)。 極細ピンセットを使うようになって、微小菌類の扱いも急に楽になった。ただ、質の悪いピンセットだと、強酸や強アルカリに弱く、腐食しやすいうえ、熱にも非常に弱い。このため、先端が熔けたり潰れたり、簡単に曲がってしまう。菌類では強酸や強アルカリの試薬をよく使う。 最近愛用しているのは、スイス製の精密加工された耐磁性で薬剤にも強い特殊合金で作られたものだ。価格はそれなりに高価だが、確実な作業を遂行できる。特に [規格5] のタイプ(e 左上)、[規格3] タイプ(e 左下)は使いやすい。 国産の極細ピンセットには、噛みあわせが狂いやすく、耐酸性や耐熱性が悪いものが多くて、今のところ使いやすいものは見つけていない。さらに、スイス製 [規格5] 相当のものはなく、もっとも細いものでも [規格1] か [規格2] 程度のものが多い(e 右)。 自分がいったいどこの銘柄のものを使っているのか知るために、あらためて最もよく使っている3本を並べてみた(f)。上段のものは眼科手術専用の医療ピンセット、中段と下段がスイス製の精密ピンセットで、いずれも [規格5] のもっとも先端が細いものだ。 VENUS や FONTAX は、高級腕時計などの精密機器を取り扱うためのピンセットとして有名なのだそうだ。購入して使っているピンセットには、"(5)" "BIOLOGIE" と刻印されたもので、生物学用に開発されたものらしい。価格も1本が4,000〜7,000円ほどする。ただ、急激な円高のため、いまだと3,000〜5,000円で入手できる。 |
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